北原白秋詩集 (角川文庫 し 1-2)
北原白秋詩集 (角川文庫 し 1-2) / 感想・レビュー
新地学@児童書病発動中
読むたびに北原白秋の詩には圧倒される。特に初期の『邪宗門』と『思ひ出』は凄い。活字のアルコールといった感じで頭がくらくらしてくる。エキゾチックなイメージと音楽的な言葉のリズムに満ちており、詩を読む喜びを味わえる。この本は『思ひ出』の『断章六十一』がまるごと収録されている特長がある。『断章六十一』は室生犀星の『抒情小曲集』と似た味わいがあり、甘く切ない叙情的な詩群だ。後期の詩になると、日本的な叙情が前面に出てきて、親しみやすくなる。水墨画のような味わいの詩が多い。
2017/01/15
おとん707
まったく詩を味わう習慣も能力もないのだが、ふと本棚にあった北原白秋詩集を手に取ってみた。詩の読み方も知らず、最初の詩集「邪宗門」はただ字面を追っただけ。次の詩集「思い出」では詩に先立って「わが生ひたち」として若き日の自分が散文で語られておりやっと手掛かりが掴めた感じ。が、その後も解説無しではとても私には歯の立たない詩集が続く。やっと後半の詩集「水墨集」「海豹と雲」に至って音読してみれば少し感覚が掴めるようになった。本書には逐次解説は付いていないが、詩は暫くは解説書の助けを借りて味わうことになりそうだ。
2021/09/22
螢
「夜」が特に好き!
2010/01/16
恋
先ず、処女詩集「邪宗門」のおどろおどろしさに驚かされる。白秋は実はどんな人間なのだろうか――? そう当惑している所、「わがおいたち」という故郷の伝記――文量もありこれこそぜひ読まれたいもの――が目に飛び込んでくる。 鮮明かつ烈しい記憶を、最初から最後まで詩の韻文をくゆらせ続けた伝記。言葉のフェロモンとしては最上のものだ。 気に入った詩は「トラピストの牛」だが、白秋の書く詩は冷静で、深い感傷から来る苦悩や狂気を書く者とは趣の違う詩人なのかと思える。静観した知性で言葉を操れる詩人として、白秋を尊敬したい。
2020/05/03
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