狐火の辻 (角川文庫)
狐火の辻 (角川文庫) / 感想・レビュー
シキモリ
何の状況説明もなく、序盤から轢き逃げ事件や怪談話、噂話に謎の独白といった断片的なエピソードが次々と提示されるだけで、物語の行く末が全く掴めないまま物語が進むが、段々と各エピソードに繋がりがあることが示唆される。探偵役の登場を皮切りに、各エピソードが集結し、最後にパズルのピースがきっちり埋まる技巧性は凄いとは思うが、そもそものお話が面白みに欠けるので、読後感は今ひとつ。ロス・マクドナルドの「さむけ」を参考にしたとのことだが、あの作品ほどの引きは全くない。探偵役が長々と語るタクシー怪談の歴史が一番面白かった。
2024/06/08
hnzwd
街で起きる事件や噂。過去に起きた轢き逃げ事件に繋がっていき、帯は盛りすぎな気もするけど、きっちりまとまってたかな。竹本健治作品でこんなに綺麗なのもあるのね。
2022/05/26
MO-FU
最初は一見関係なさそうな事故話や怪談話が、断片的に語られてなかなか掴みどころがないのですが、それが徐々に関係性を持ち始め、最終的に一つの線に収束するのは気持ちよかった。(謎が魅力的過ぎて、真相が少し肩透かしなのはご愛嬌) 中盤で語られる、タクシー怪談のルーツに関するくだりはこれ一本で本書けるんじゃないかと思うほど面白かった。
2024/02/12
ちょうすけ
これは面白い。バラバラに渡されるピースをひとつずつ埋めていき最後に全体像が見えてくるタイプの推理小説。登場人物と事象をひたすらメモしていく私にとって非常に好みな作品。すべては冒頭の「序としての三つの断章」に繋がる。初めは舞台の湯河原という土地に急激に増えた都市伝説から始まり、次第に事件に発展していく。ただ本当にジグソーパズルのように少しずつバラバラに情報が与えられるので、一気に読むかメモするかしないと途中でこの人だれだっけ?あの話ってなんだっけ?となる。最後に綺麗に終息するので気持ち良い。
2022/12/01
しい太
牧場智久シリーズと言っても当人は殆ど動かず、調査担当に神託を与える程度の役回り(囲碁界のスターは忙しいので)。怪談めいたいくつもの不可思議な現象がロジックと地道な調査によって少しずつ解体され、冒頭の三つの断章と結びついてひとつながりの真相に導かれる、という割とオーソドックスな作り。だが、作品全体に漂う「物語仕立てを拒否」「現象は解いても動機の真髄にまでは触れない」あたりが、なんか奇妙な感じを残す。ロスマクの「さむけ」を参考にしてるらしいが、わかるようなわからんような。
2022/03/10
感想・レビューをもっと見る