月に吠える: 萩原朔太郎詩集 (角川文庫 し 1-6)
月に吠える: 萩原朔太郎詩集 (角川文庫 し 1-6) / 感想・レビュー
冬見
「私は信ずる。さうして君の異常な神経と感情の所有者である事も。譬へばそれは憂鬱な香水に深く涵した剃刀である。」「寂然涼しい水銀の鏡に映る剃刀の閃きである。その鏡に映るものは真実である。」北原白秋による序は名文。尖っていて、孤独で、悲しい。この詩集は正しく、月に吠えすさぶ君の悲しさだ。
2016/07/20
松島
内容は理解に苦しむが詩がリズミカルでとてもテンポが心地よい
2017/09/29
つーさま
普段、詩を読む機会は少ないが、好きな詩人を訊かれれば天沢退二郎と朔太郎の名がパッと頭に浮かぶ。そのくらい彼の詩が好きだ。頽廃的でじめじめとした詩は、読んでいるうちにこちらをも生気を吸いとられ、気だるい気分にさせる。それでもなお、疲労や虚無とともに広がりをみせる官能的で幻想的なイメージの中で溺れてしまってもいいと思う。いや願う。それも病的に。本書は、『月に吠える』を中心に朔太郎の代表作をセレクトしているが、なかでも好きなのが「殺人事件」「感傷の手」「愛憐」「遺伝」「虚無の歌」の5つ。
2013/05/11
清少納言
中高と、落第を繰り返しているところには、好感を覚えるし、納得してしまう。望郷の念こそが、彼を形成しているのかもしれない。「宿命」は、一読の価値あり。旧作と新作を取り混ぜているから分かる、寂寥感の深み。
2014/07/01
のし
萩原朔太郎の心の中。印象に残ったのは腐った蛤。安心は砂の中。誰にも知られず腐っていく。そんな詩は朔太郎自身を投影しているのか。そんなことを思いました。
2017/10/01
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