理想の夫 (角川文庫)
理想の夫 (角川文庫) / 感想・レビュー
buchipanda3
19世紀末のロンドン社交界を舞台としたワイルドの戯曲。前に映画化されていたことを思い出したので、そのキャストを頭に浮かべて読んでみた。主に4人の男女の関係を巡る物語で、配役も悪女など明快で至ってシンプルだが、ハラハラさせる展開もあり楽しめた。各人のセリフも読ませる。中でも独身貴族のアーサーは初登場時の描写の通り、人生をもてあそんでいる洒落者であり、加えて実直な態度もさらりと見せるスマートぶりが良い。当時の風潮は現代では古めかしさもあるが、理想の形という表面的なものに囚われないことの意味は今も同じと思った。
2022/01/27
松本直哉
洗練されたセリフや思いがけない取り違えやどんでん返しを純粋に楽しめばいいのであって、内容を云々するのは野暮でしかないのはわかっているが、まるでシェークスピアみたいな終盤のご都合主義はやはり違和感。赦すのが女の使命?不完全性も含めて愛する?それでロバートの過去の汚点は帳消しになり、夫婦はよりを戻して元の鞘に収まり、独身を謳歌し結婚を軽蔑していたダンディーもしまいには結婚相手を見つけてめでたしめでたしだなんて、話が出来すぎていないだろうか。ガートルードはあそこで夫を平手打ちにしてもよかったはずなのに。
2023/10/15
名言紹介屋ぼんぷ
『結婚とはまさしく 相互の誤解にもとづくものである。』
2023/03/07
こつ
金言がたくさんです。たまには戯曲を読むのも面白いかもしれません。男女間のちょっとしたすれ違いに萌えます。
2023/03/13
qoop
夫を偶像化し現実の姿を受け入れない妻を描きながら、物語は夫とその友人、悪女の三人を中心に進む。現代的な目線で考えると主題をめぐる展開は迂遠だし人物像も定型に留まりはするのだが、機知に富んだスラップスティックとしての面白みは損なわれない。ホモソーシャルな世界観は著者だからということではなく、時代性だと感じた。不在のうちに物語が進む白痴美の化身をヒロインに据える点もまたそうなのだろうか。
2022/02/01
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