味比べ 時代小説アンソロジー (角川文庫)
味比べ 時代小説アンソロジー (角川文庫) / 感想・レビュー
藤枝梅安
図書館で目に留まり借りてきた。アンソロジーにありがちなのだが、梶よう子さんの「大根役者」以外の4作品は単行本で既読だった。
2023/05/02
タイ子
5人の時代小説の名手によるアンソロジー。梶よう子さんを除いてはどれも既読作品だったが、忘れかけているのもあるので改めて面白く読んだ。宮部みゆきさんの「三島屋百物語」からの作品が季節的にもいい。作中で桜を「どんなに満開に咲き誇っていても桜はどこか儚く寂しくけっして賑やかな花ではない。いっそしめやかと評したい風情」(原文省略)確かにとナットク。梶さんの「大根役者」もいい。どんな料理にも合う大根、大根役者の謂れが1人の男を奮い立たせる物語。門井慶喜さんにあってはよくこの短編を選んだなと選者の渋さに感服。
2022/04/06
Ikutan
美味しそうな表紙に惹かれて。食を巡って繰り広げられる江戸時代の人間模様。そこにはちょっとした謎もあって。南星屋を舞台にした西條さんの『カスドース』は既読でしたが、すっかり忘れていたので、新たな気持ちで楽しめた。門井さんは初読。新撰組を舞台にした今作品は、読みやすい文章で、他の作品も読んでみたいと思った。一番良かったのは、宮部さんの『食客ひだる神』。だるま屋の夏場休業の理由が知りたくて一気に引き込まれた。腹ペコの神様″ひだる神"が愛らしく、房五郎との関係が何とも微笑ましい。出てくるお弁当も美味しそうでした。
2022/05/06
ひさか
小説現代2010年3月号西條奈加カスドース、2015年6月1日〜2016年6月30日日本経済新聞朝刊連載宮部みゆき食客ひだる神、小説すばる2012年7月梶よう子大根役者、小説新潮2014年10月号青山文平真桑瓜、小説宝石 2016年12月門井慶喜ぜんざい屋事件、の5つの短編を2022年3月角川文庫刊。なんと4編は既読だつたが、もいちど読んでも面白いストーリーばかり。未読のぜんざい屋事件に登場する新選組賄方の鉢四郎が楽しい。ラストの妻子との邂逅も哀しい結末ですが、それなりのまとまり感はありました。
2022/07/15
ま~くん
食を物語の中心に据えた時代小説の短編集。個人的には「真桑瓜」が一番面白かった。若い目付に命じられた刃傷沙汰の捜査。宴席で90歳前の老人が同じ歳の友人を斬りつける事件が発生。全く口を割らない下手人だが食事に出された真桑瓜を見た途端に様子が激変したという。その隠された真実に泣けた。「大根役者」は今でも耳にする言葉だがその由来、更にこの時代のダイエット奮闘記がとにかく笑える。「ぜんざい屋事件」では新選組か登場。大阪のあるぜんざい屋が不穏分子の巣窟になっているという。決定打はその店の味だった。頭を空にしてどうぞ。
2022/06/28
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