八犬伝 下 (角川文庫)
八犬伝 下 (角川文庫) / 感想・レビュー
榊原 香織
上下巻の下 面白い!さすが。 実の部分、四谷怪談尾上菊之助初演後、奈落で、馬琴、北斎、南北が小説作法について話すところなんて、ファンサービスにあふれてる。おまけに案内のちょい役までが、あの人
2024/09/30
saga
戯作者・馬琴の壮絶な人生が明らかになった実の世界。特に白内障によって隻眼となったうえに、残る一眼にも侵食した後の、漢字を知らない亡き息子の妻・お路の凄まじいまでの気力に感動した。そのおかげで八犬伝は未完の大作とならずに済んだ。まあ、馬琴の微に入り細を穿つ文章は冗長だ。しかし、完成したからこそ今に伝わったとも思える。そして、著者はその冗長さを排して、読者に八犬伝の面白さを伝えてくれた。終盤の幼犬士・犬江親兵衛の活躍は、まさに桃太郎のような微笑ましい一篇に仕上がっていた。
2023/01/29
猫ぴょん
八犬士の話しより、 馬琴と北斎のほうが面白い😅 ふたりとも超長生き(江戸時代に80歳過ぎってスゴいよね) で、ふたりとも家族との関係が悲しいなぁ。正直どっちも苦手なタイプの性格😱馬琴の細か過ぎる性格は無理だー(汗)だからこそ何千頁の大作が書けるんだろうけど。終盤の長さ細密さは実際には読む気にならないな。飽きる(滝汗)犬江親兵衛の大活躍までかな?面白いのは。後はダイジェストで十分。 さて。実の部分でイチバン凄い方は息子のお嫁さんのお路だね。 口述筆記の超ド根性は素晴らし過ぎる。お路が優勝✨
2023/07/10
kei-zu
かの伝奇ロマンを山田風太郎が取り上げるのだからおもしろくないわけがないが、それを執筆する滝沢馬琴を平行して描く趣向が楽しい。同時代の北斎との語り合いは創作論として読み応えがあるが、虚実の認識を問い合う四谷怪談の鶴屋南北との会話はぞくぞくします。「虚」「実」交互の描写を読み進め、クライマックスの語り口には圧倒されました。本書、映画になるそうですが、ポスターを見る限りは、うーんという感じ。
2024/09/21
紅香@本購入まであと9冊
胸の空く、善因善果、悪因悪果絵巻。実の世界が一層濃くなり、はたと気付く。ここまで深く物語にのめり込まされて、今まで何を読まされてきたのだろう。。まさに虚実冥合。私は馬琴の聖戦を読んできたのだ。物語を振り返える。本来なら言葉の綴り方も今の私たちには到底読むことはできない一端を広げて、その気の遠くなる偉業を知り、戦慄する。そんな偉業をなし得た滝沢馬琴も北斎も渡辺崋山ももうこの世にいない。満足いく人生だったのか。悔恨か。勝者とか敗者とか、そんなことはお構いなしに。この物語は経に相当する。
2023/03/26
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