支那扇の女 (角川文庫)
支那扇の女 (角川文庫) / 感想・レビュー
セウテス
【金田一耕助シリーズ】タイトル作品と「女の決闘」の2作中編。浅井美奈子は明治の毒殺魔として知られる八木克子の棺の中より見つかった、肖像画「支那扇の女」に瓜二つであった。彼女は八木夫人の家系に連なる者で、夢遊病の自分が寝ている間に殺人を犯したと思い込んでいる。意外な犯人というよりも、意外な動機に驚かされる。「女の決闘」の方が、謎解きとしては面白いだろう。ストリキニーネを使った毒殺で、犯人のトリックは気づきやすいのだが、本作もその動機こそ推理のしがいがある。謎解きは、自分的には直接現場でというのが好みですが。
2022/09/19
coco夏ko10角
2編収録。金田一耕助シリーズ。高級アパートで洋な朝食を食べてる金田一ってなんか違和感あるなぁ。やっぱり前の家の方がしっくりくる。始まりは『支那扇の女』ワクワクしたけど、終わってみると『女の決闘』の方が面白かった。そういう動機だったか。
2022/11/14
乃木ひかり
なかなか出会えなかった本が復刊と聞いて久々の横溝正史。表題作は面白いが辺見の死亡日のズレが気になる点ではある。曲者揃いの女の決闘も面白い。そして安定の解説中島河太郎。3月は壺中美人が復刊だがやはりあのキモカワカバーなのだろうか?
2022/02/16
marty@もぶおん学
昭和32年夏、成城の高級住宅街の人気児童作家の邸宅で、彼の義母と女中が惨殺され、妻は自殺未遂を図った。犯人は夢中歩行癖のある妻なのか、アリバイ不明の夫なのか、はたまた成城で多発していた物盗りなのか? ストーリー展開はほとんど別物だが、背景に明治時代からの岡山の旧家間の因縁が横たわっていたり、夢遊病がモチーフとなっているところなどは「夜歩く」を想起させた。同時期(S32.12)に発表された「扉の影の女」と比べると、結末の意外性は本作の方が工夫されているが、プロセスの面白さは「扉の影の女」に軍配が上がるか。
2024/01/07
nishiyan
表題作と『女の決闘』の2編が収録された本作。『支那扇の女』は稀代の毒殺魔を大伯母に持つ美奈子がある殺人事件に巻き込まれる内容。70年前の事件と現代が絡み合う因縁が面白く、犯人の真意が見えない展開はミスリードも相まってなかなかの読後感だった。『女の決闘』は英国人夫妻のさよならパーティーで起こった小説家殺人事件に金田一が挑む内容。ラストのある人物との往復書簡で真相に至る結末は意外感はあった。
2022/09/16
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