過ぎる十七の春 (角川文庫)
過ぎる十七の春 (角川文庫) / 感想・レビュー
ちょろこ
17歳、運命の春の一冊。従兄弟同士の直樹と隆が迎えた17歳の誕生日。それは紛れもない二人にとって運命の春だったというストーリー。春という季節をうっとりするほどの美しい色彩溢れる言葉で堪能し、抗えない運命と言える17歳を迎えることの意味を恐怖と共に堪能した。ホラー感は小野さんらしく、肌が粟立つような描写が絶品。そこに重なる母子の関係が不安感と謎をより高めていき、次第に紐解かれていく運命の原点はミステリ要素で満たされる。母の、子への深い愛、そして決して屈しない強さが春の陽だまりと眩しさに溶けあうような読後感。
2023/04/23
ミュポトワ@猫mode
夏なのでホラーを。ということで、積んであったのを忘れていた、小野不由美先生の本を読んでみた。怖い。これは怖い。ホラー好きの俺垂涎の一品。怖くてゾクゾクした♪ただ、ラストがなぁ…エピローグは好きなのよ。その前のラストがなぁ…まだ小野先生が若いころの作品だからってことかもしれないけど、緑の我が家のラストがすさまじく良かっただけに、ちょっとなぁって思ってしまった。化け物退治はもっとスパン!って終わってもらえると読んでいて爽快なんだけどなぁ。その部分はちょっと残念でした。でも全体通して怖くて面白かったですよ!
2023/08/08
ままこ
情景描写が上手いなぁ。風情あふれる美しい花の里。そこに住む従兄弟の隆の家へ、毎年春と夏に遊びに行く直樹と典子兄妹。春爛漫の長閑な感じから、異様な気配が見え隠れし次第にその気配は色濃くなる。ある日を境に穏やかだった隆の性格が冷淡に豹変し、母親は憂い怯えたようになり…。もうすぐ17歳になる直樹と隆。この歳が何を意味するのか気になり一気読み。強い想いが呪詛を生み、それを跳ね除けるのも強い想いだった。猫の三代も大活躍。恐ろしく切ないが、温かみのある読後感。今の季節にぴったりのホラーミステリ。
2023/03/27
えみ
絶妙なタイトル。恐怖に支配され怨みに圧倒された青春ホラー&ミステリ。昨日まであった当たり前の日常、今日失くした風景、所詮は夢幻の桃源郷…呪われた未来に囚われた17歳の春。代々繰り返される悲劇の果てに立っている彼らはどんな地獄を覗くことになったのか。その女は誰だ?昏い運命がひたひたと近寄ってきていることも知らずに従弟同士の直樹と隆は17歳の誕生日を前に再会する。闇が震える程の恨み、人の心を破壊するには十分な憎悪。初刊行から30年以上経った今も全く色褪せない悲劇が描かれている。これが追い詰められた者の末路か。
2023/01/30
ひさか
1990年7月朝日ソノラマパンプキン文庫刊呪われた十七歳を加筆修正、改題し、2016年3月講談社X文庫ホワイトハート版の過ぎる十七の春刊行。さらに加筆修正し、2023年1月角川文庫化。前半の展開は冗長。後半はそれなりの展開があり、怖いけど驚きは少なかった。
2023/05/30
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