魔女と過ごした七日間
魔女と過ごした七日間 / 感想・レビュー
ヴェネツィア
中学生の陸真を主人公に、親友の純也を配したこと、そして何よりも魔女めいた円華を起用したことは、作品の成功に大いに寄与しただろう。エンディングも実に爽やかだ。一方、中核となる殺人事件そのものは結果的には添え物となり、実質的にはIDカードとDNA認証といった公安の秘密への警鐘に席を譲ることになった。この問題に東野圭吾がはたしてどこまで本気で語っているのかはわからないが、こうしてエンターテインメントに徹していることからすると、逆に案外本気なのかもしれないと思う。ミステリーとしての欠陥を上げだしたらキリがない⇒
2023/10/09
starbro
東野 圭吾は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。「ラプラスの魔女」シリーズ第三弾にて、著作100作目(既読48/100)の作品でした。円華の魔女っぷりが見事で、シリーズの中ではNo.1評価です。ビリヤードシーンや闇カジノのルーレットのシーンは完全に映像化を意識しているのではないでしょうか❓ https://www.kadokawa.co.jp/product/322208000298/
2023/05/02
パトラッシュ
羽原円華は規格外のエクスチェッド探偵だけに、AIが犯罪捜査に導入された近未来で起こった元刑事殺しの捜査に挑むのは湯川学より適任か。相変わらず自分が法律だと言わんばかりの態度で、AIには絶対できない手法を駆使する魔女ぶりも健在だ。一方で地道に動くしかない警察も、未解決事件絡みの矛盾点に気付き隠密捜査で真相に迫る。そこまでは面白く読ませるのに、犯人が得意満面で犯行の動機や手口を演説したり、絶体絶命のピンチを高校生の乱入で救われるラストは興醒め。得体の知れない政治の怖さを思い切り強調するドラマが欲しかった。
2023/04/18
ノンケ女医長
華々しい非自然現象も、悪に立ち向かう勇気も表現されていた。人工知能を始め、近未来を示唆する描写もあって、なるほどと思いながら読んだけど、何か大切なものが足りないような気がして、モヤモヤした。ストーリーがしっかり完結したという満足度が少ないまま、あっさり終わってしまった感じ。女装をさせられてしまった彼が、今後新しい環境でどう成長していくのか、心配する声が作品の中にあれば良かったのかなあと。情緒的交流が乏しい作風な気がしたけど、コロナ禍を経た今後は、小説世界でも共通認識になっていくのだろうか。
2023/05/07
bunmei
羽原円華が謎を解く『ラプラスシリーズ』の第3弾。円華が特殊能力を駆使して、難事件の解決と共に、警察奥深くに蔓延る闇に迫る東野ミステリー。男子中学生の父親の殺人事件解明に向かう重い内容ではあるが、円華の空想的な能力や破天荒な態度、また中学生コンビの真夏の大冒険的な展開を盛り込む事で、軽快で清涼感のあるタッチで展開。そしてその真相には、国家的なDNAデータ犯人解析システムといった、近未来にというか、既にマイナンバーカードよって現実味を帯びている、国民監視システムの導入といった、怖い裏事情が隠されている。
2023/04/06
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