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魂手形 三島屋変調百物語七之続 (角川文庫)

魂手形 三島屋変調百物語七之続 (角川文庫)

魂手形 三島屋変調百物語七之続 (角川文庫)

作家
宮部みゆき
出版社
KADOKAWA
発売日
2023-06-13
ISBN
9784041134719
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魂手形 三島屋変調百物語七之続 (角川文庫) / 感想・レビュー

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いこ

このシリーズは「江戸怪談」で「変わり百物語」である。普通の百物語と違う所は、語り手一人、聞く相手も一人。聞いた話はけっして外に漏らさない所。不思議な体験をした者、怖い思い出を持っている者などが、神田袋物屋「三島屋」の応接間でお茶とお菓子を頂きながら、体験を吐き出して帰っていく。私は怖がりなので、普段「怪談」など読まないようにしているが、宮部さんのこのシリーズは本当に良い。背筋がぞくっとしても、そこにホロリとする要素があったり、少しのユーモアがあったりで、怖がりの人にも勧めたいシリーズなのである。

2023/07/23

yoshida

三島屋シリーズ第七弾。短編三編。今回は人の感情、業が非常に生々しかった。それだけに読んでいて引き込まれ一気読みとなる。「火焔太鼓」は人の欲と業。人が手に入れた奇跡的な力。その力は弱り消えることが分かる。力を継続させる為に取った方法は。「一途の念」も欲と業か。夫の病と奉公先の変貌。妻のやむを得ない選択と結果。養家の義弟の人でなしさが強烈な印象を残す。「魂手形」は因果と人の気持ちの残酷さ、哀しさか。魂が彷徨う。そこには悔いや恨みがあるから。何が正解か分からぬが因果は回る。最期は不穏な夢。安定の面白さがある。

2023/06/16

ピース

今回は尾丈夫殿の話、屋台の串団子売りのおみよの話、吉富という老人の話。どれも少し悲しいけどいい話だった。又、前の聞き役のおちかに赤子が授かったことで浮足立つ三島屋だが突然富次郎の前に現れた不穏な男は何者!?それが気になる。

2023/10/10

ふう

変調百物語七之続。悲しい話も恐ろしい話も尽きることなく、三島屋黒白の間での物語は続きます。表題作「魂手形」は死後もなお苦しみ続ける魂を安らかにあの世へと送る仕事人の物語。無念の死をとげた人の魂は、きっとこんなふうに人間のそばに漂っているのかもしれません。二人の「なさぬ仲」の母親が登場しますが、先妻の子にも惜しみなく愛情を注ぐ母親と、命まで奪ってしまうようなひどい母親とでは、子の人生がこんなにも違ってくるのだと、生きた人間が一番怖いと思い知らされました。聞き終えたあと富次郎がみた夢が一番ぞっとしましたが。

2023/07/23

眠る山猫屋

火災を鎮めるという『火焔太鼓』の怪異は『荒神』に連なる怪物の系譜か。妖怪というよりは怪物のイメージだが、人に寄り添う優しさの秘密は切ない。献身と運命の狭間で生きていくと云うこと。『一途の念』は怪異としては怖くはないが、他人を思い計らない悪意が産み出した悲しい事件の顛末。『魂手形』は百物語を根底から覆しかねない秘密が描かれたが、流石、宮部みゆき先生、きっちり仕上げてくれている。いなせな語り手の昔話だが、血の繋がらない母との関係が素晴らしく良い。パワフルで口の悪い母ちゃん!(続)

2023/06/28

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