中原中也全詩集 (角川ソフィア文庫)
中原中也全詩集 (角川ソフィア文庫) / 感想・レビュー
ムッネニーク
62冊目『中原中也全詩集』(中原中也 著、2007年10月、角川学芸出版) 30歳という若さで夭折した天才詩人・中原中也の全詩集。 約800ページという非常にボリュームのある文庫本だが、1ページあたりの文字数は少ないので割とサラサラと読み進めることが出来た。 爽やかかつロマンチックでありながら、全てに唾するような無頼さも感じられる。どちらも彼の本質であり、それこそが中原中也の魅力なのだろう。 「ポッカリ月が出ましたら、舟を浮べて出掛けませう、波はヒタヒタ打つでせう、風も少しはあるでせう。」
2022/09/24
青蓮
中原中也詩集3冊目。本作は全詩集と言うことで800頁の大ボリューム。時々開いて少しずつ読んでいました。萩原朔太郎の詩を読んでも感じたけれど、詩と言う芸術は悲哀の芸術、悲しみを敏感に感じ取る繊細な心がなければ表現出来ない芸術だと思います。中也が選ぶ言葉のセンスも独特なものがあり面白い。「サーカス」の「ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん」がその代表。何度読んでも感じ入るのは「盲目の秋」の第3節と第4節。未発表詩篇の「ダダ手帖」は私好みの作品で気に入りました。巻末の小林秀雄の「中原中也の思ひ出」も良かったです。
2018/09/22
keroppi
大林宣彦監督の遺作「海辺の映画館」を昨年公開時に観て、中原中也の詩が出てくるのに惹かれ、この本を購入した。それから、他の本を読む合間に少しずつ読み進めた。大林監督が「美しく正直で綺麗な日本語」として孫に読ませたい本と言っていた。私は、それまで「汚れちまった悲しみに…」程度しか知らなかったが、美しく感情を描写する言葉に浸ってしまった。様々な音や風景が行き過ぎていく。映画にも取り上げられた「サーカス」の「ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん」が妙に耳に残っている。再度「海辺の映画館」を観たいと思った。
2021/05/20
NAO
100分で名著を見ながらの再読。解説では、詩人とは大人になっても少年時の心を持ち続けている人だと言っていた。それも、孤独な心を。「少年時」の孤独。それでも、諦めながらも「生きていた!」と明言する、その強い意志。「焦燥」の精神の高貴さと、それが達成できない焦り。「それにしても辛いことです、怠惰をのがれるすべがない!」と、自覚しているしている人が何人いることだろう。「汚れちまった悲しみに」も同じ心情と言えるだろうか。「月夜の浜辺」は、一番好きな詩。彼の詩は絵画的なものが多いと思うのだが、⇒
2017/02/01
雪風のねこ@(=´ω`=)
初読。という以前に詩集が初めて。同氏の詩集を幾つか試し読みしてみたけど本書が一番読み易いですね。ルビも振ってあるし、解説も助かります。僅か9歳で詩を綴り30の若さで亡くなっていたとは知りませんでした。難解な詩が多いけれど、自然を生き物の様に描く表現は素晴らしい。生ひ立ちの歌が一番良かったかな。読む度に変わっていくのだろうな。ちょっと分厚いのでkindle版を買おうか思案中。どちらにしろ手元に置いておきたい一冊であります。
2015/11/13
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