星と祭 (角川文庫 い 5-4)
星と祭 (角川文庫 い 5-4) / 感想・レビュー
Junichi Wada
主人公がエベレストで観月旅行に誘われる一文から始まる。その時点で撃ち抜かれる。主人公架山は琵琶湖で娘が遭難して7年経っても遺体があがらない。同じ事故で息子をなくした男から琵琶湖に十一面観音が多くあることを教えられ参詣を始める。京都奈良の有名寺院にはない地域に生きた信仰が観音を支えている。子供を亡くした親がそれぞれの苦しみを超えて行く姿、小さな集落に埋もれるようにある十一面観音像、エベレストでの観月どれをとっても美しい情景が浮かび上がる。
2020/03/06
KAZOO
これも若いころに読んでいたのを何回めかの再読です。厚い本で読み通すには大変なのですが、いつ読んでも感動します。この本で、湖北の11面観音の虜になって何度も現地に行っています。とくに渡岸寺の国宝の観音は素晴らしいものがあります。心があらわれます。
2013/03/14
荒野の狼
2021年の2月に私は滋賀県の琵琶湖の湖北にコハクチョウと竹生島を目当てに旅行したのであるが、十一面観音も有名であったので長浜市高月をまず訪れた。ガイドブックに本書にも記載のある十一面観音が石道寺と鶏足寺で見られるとあって楽しみにしていたのであるが、期待は見事に裏切られた。コロナ禍のため両寺とも閉まっていたのである。そこから、ドライブをして、せめて国宝の渡岸寺の十一面観音だけでも見たいと同寺を訪れたが、ここでもコロナ禍のため拝観は中止であった。
2021/02/19
巨峰
びわ湖湖畔の観音巡りをしたい人は是非読んで見て欲しい。静かな悲しくて、そして、許しの作品
yamakujira
琵琶湖でのボート事故で娘を亡くした架山は、気持ちの整理がつかないまま時を送る。7年後、琵琶湖を訪れた架山は、大三浦に誘われて十一面観音を巡り、友人に誘われてヒマラヤに観月に向かう。ひとりの男が悲しみを癒すまでの心情が丁寧につづられてるとは思うものの、それが冗長に思えて飽きてしまう。ヒマラヤで見た月に永劫を感じる心情はわかる気がするけれど、当時のヒマラヤ訪問が金持ちの贅沢だと知ると同情が薄れるな。架山も大三浦も社長だからか、言動の端々に傲岸な性情がのぞくようで、好きになれない男たちだった。 (★★★☆☆)
2018/03/22
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