愛 (角川文庫 い 5-8)
愛 (角川文庫 い 5-8) / 感想・レビュー
フリージア
小さな貧しい木材会社の夫婦。夫春吉は妻を美しいとも可愛いとも思わなかった。しかし妻を亡くした後再婚しないでいる。妻との思い出の「結婚記念日」。妻加奈子を思う春吉の想いは愛情だ。切なかった。「死と恋と波と」は死のうとしている重い話だが登場人物は淡々としており、どんどん話が展開してひきこまれた。「石庭」と短編三題。其々の男女の関係が綺麗だった。
2021/08/29
SOHSA
《購入本》風情豊かな大人の小説。私が生まれる5年前の作品、大昔でもなく現代でもない微妙な距離感の時代だからこそ、不思議な親近感がある。登場人物のそれぞれの心象は読み手の気持ちを鮮やかに反映して、幾重もの景色を見せてくれる。短編ながらその奥行きに作者の力量を感じた。
2014/12/09
らぴ
三浦しをんの『天国旅行』と平行読みしたら、思いがけずちょっとダブった感じの話で驚いた。あちらは「心中」がテーマ、こちらは「愛」なのに? それにしても、男がみんな勝手でビックリだ。
2010/05/31
ラムネ
何度目かの再読。 節約家夫婦が互いの倹約家ぷりに呆れながらも、 同志のような共感を覚え、必死に身体を寄せあう物語だ。 自身の現実に打ちひしがれた時、いつも手に取る。 今回はこれまで気にしてこなかった、他二つの短編にも心惹かれた。 切ない夫婦の愛とは異なり、別れる二人、結びつく二人。 愛とは手にした途端するりと逃げ、 そうして諦めた瞬間ふと手の内にあるような不思議なものだ。
2018/04/03
アヒル
愛の隣にはいつも死が寄り添っている。
2009/06/03
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