葦の浮船 (角川文庫 緑 227-22)
葦の浮船 (角川文庫 緑 227-22) / 感想・レビュー
y_e_d
殺人事件が連発する推理ミステリーではない。対照的な小関・折戸の関係に描かれる、強者の傲慢と弱者の意外な打たれ強さ。微妙な心模様をサラリと涼しく描き、軽く読ませるだけにかえって読後感が深い。松本清張でなければ書き得ないと思われる作品。教授にはなったが地方に飛ばされる小関の「決められない自分」。確かに優柔不断とも言えるけど、これがどっしりと状況を見据られる強さにも繋がっている点が、物語をより深いものにしている。これもまた唸らされる作品でした。
2017/08/05
ピコ
決して心地よい余韻を残すようなエンディングではないところが良い。結末は、小関氏は本心ではなく、無理に周り、そして自分を納得させているようにとれる。
2013/03/14
みい⇔みさまる@この世の悪であれ
☆×3.5…「落差」の同様の鬼畜男が出てくる作品。まったくこの男は人様の過程を壊そうが関係ないとのたまいます。こんな人が教授なんだからこれまたびっくり、うちのいた学校ではそんな極悪人、いませんでしたし!!そして対比される男はまじめなのになぜかその芽が認められることのないそんな男です。本当はこう言う人が学と言うのを盛り上げないといけないのに…何と言うか、不条理の世界で、深い作品でした。
2012/04/15
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