不作法のすすめ (角川文庫)
不作法のすすめ (角川文庫) / 感想・レビュー
ゆきのすけ
紳士とは何か、痴語なるものの活かし方、赤線地帯での体験談等々。遠藤周作のエッセイを読んでいると繋がりが見えたり、交流が描かれていたりで面白い。赤線地帯は今や存在しないけど、そこで生きた女の人もいろんな人がいるんだなぁ。人間の本能むき出しにした世界って自分と遠いからか興味深い。しかし童貞のときに梅毒の子をあてがわれそうになるってなんとも可哀想。無知はときに残酷。いやらしこともいやらしく聞こえないように、さらりと言える人が粋な人、と聞いたことがあるけれど、まさにこの人がその粋な人だと思う。
2010/08/28
amabiko
赤線ありし頃の娼婦との交流が、決して下品にならないように描かれている。フーゾクレポではなく、正しく文学ですね。
2011/01/08
eri
休日に一日かけて読み終えた。次の章に丁寧に続いていく話のひとつひとつに、著者の性格を感じ取ることができた。熱量が控えめなのもあり、読んでいて重くなりすぎない。そして、知らないことを知るのは、やっぱり面白いと思った。
2014/06/12
uburoi
「キャッと叫んでロクロ首になる」という表現だけ覚えていた。吉行のエッセイで読んだ記憶はあったが、本書であった。牧野信一の言葉だが、広津和郎の「バカバカバカ、と小声で自分を罵る」と比べるとなんとも含蓄に富んでいる。後半「娼婦と私」は著者がつきあった妓たちの思い出の記だ。芥川賞周辺で書かれた娼婦もののモデルについても語られて創作の舞台裏を垣間見ることができる。個人的に吉行の初期作品は一切読んでいないが、『原色の街』を書いた時には「私は娼婦の町をろくに知らな」かったというからお相子だな。
2016/08/20
すず犬
今から思うと、昭和の時代っていう香りがするエッセイだ。
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