有田川 (角川文庫 緑 262-3)
有田川 (角川文庫 緑 262-3) / 感想・レビュー
スノーマン
和歌山県の土地鑑は全然ないけど、柔らかい紀州訛りが心地よく、読んでいるだけで有田みかんの良い香りが立ち上ってくる気分。千代は、生い立ちも生き様も頑固で男前な一方で細やかな気配りも見せてくれて、とても魅力的なキャラ。一株一株それぞれに知り合いの名前をつけてるところが微笑ましい。人間のサキやんもみかんのサキやんも笑えた。大事にすべきものを見失うことのない人生。清々しい!
2015/03/17
たぬ
☆4.5 有吉佐和子5冊目。最初の10頁で絶望を叩きつけられる主人公。そのすぐ後にさらなる試練に襲われる。これは波瀾万丈の予感…(読了)…そこまで山あり谷ありじゃなかったけどかなり濃ゆい生涯だった。中年期の千代は乱暴な言い方をするとヒステリー更年期婆でしかないけど、それは蜜柑農家としてのプライドが高すぎる故ってのもあるよね。希望も随所に出てくるけど雰囲気はずっしり重い。でも夢中で読み切った。
2021/03/12
nemesis
有吉佐和子の小説の女主人公はどのような境遇に生まれても、大きな運命の変転にあっても決してただの「被害者」ではない。自分なりに知恵を絞り、寝る間も惜しんで働き活路を見出していく。本作の主人公千代はまさにそう。有田川の洪水に流された赤子がある時は山持ちの名家の娘、やがてみかん農家の女衆となり、みかん栽培に生涯をかける姿を有田の自然と気風の中に描く傑作。
2012/04/10
アルプスの空♪
だいたい"切ない物語”が好きなのですが、これも胸がキュッと・・・
2009/11/13
かずは
アメリカ某市の桜祭りで売っているのを見かけたので、これも何かの縁かと思って買った。読んでいくうちに、昔祖父母が喋っていた紀州弁を思い出して懐かしくなった。少し長かったけど、千代の人生の哀歓を自分の事のように共感して読めた。気が向いたら作者の他の作品も読んでみたい。
2013/06/12
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