女の熱帯 (角川文庫 緑 268-25)
女の熱帯 (角川文庫 緑 268-25) / 感想・レビュー
鷹ぼん
「昔読んだ黒岩本を押し入れの奥底や、倉庫のガラクタ山積みの中から引っ張り出す」作業で、出てきたかなり古い本。しかしすごいタイトル。まあ、この意味するところは、読むうちに段々わかっていくのだけど。本作の舞台は超地元なので昔から思い入れのある作品。面白い作品でもないけど(笑)。夫の妻へのコンプレックス、店を共に営む友人の主人公への嫉妬、夫の事故死に蠢く人たちの思惑、夫を利用して大金を手に入れんとする悪女。この女と主人公の対決は、読み手をスカッとさせる終わり方。底辺を描く作品群とは違う黒岩重吾の世界が展開する。
2024/08/10
みい⇔みさまる@この世の悪であれ
☆×4.5…もし男よりも女のほうが収入があり、より輝いていたとしたら…そんな悲劇がこの本では描かれています。プライドを裂かれた男は…?そしてその後事故で夫である男を亡くした女は…男を知らぬ女が翻弄され、やがて女として輝く描写には妖艶さすら感じます。でも決して色気系の表現は多くありません。あっても数場面。そしていつの時代でもとびきりの悪女は暗躍するものです。そしてどこまでも業突く張り。女は怖いものです。
2012/06/18
リトープス
自分が納得できる愛を求めるヒロインの生き方、特に結末の決心が清々しかった。苦境に陥った時に明らかになる本音、登場人物それぞれの行動が印象深かった。小松伸六氏のあとがきにあるように本能むき出しの描写が抑えられた恋愛小説。先日読んだ「花園への咆哮」に続き、ますます黒岩作品に魅かれます。
2018/03/22
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