小林秀雄 (角川文庫)
小林秀雄 (角川文庫) / 感想・レビュー
うえ
小林秀雄が「神田の古本屋でメルキュール版の「地獄の季節」を見つけたとき、「何の準備もなかった」といっているのは正確な回想ではない。すでに彼らは、岩野泡鳴訳のシモンズ「表象派の文学運動」で、ランボオの一斑に接していたからである。想えば、この翻訳と独断にみちた奇怪な翻訳書が、大正十年代の知的青年にあたえた影響の深さは、ほとんどはかり知れぬほどだ」…どうもこの本、その後三度ほど翻訳されている。こういう影響力のあるネタ本というものは探せばあるものなのだな。その影響はジョイス、エリオットにも及ぶという。
2022/08/06
感想・レビューをもっと見る