海岸道路 (角川文庫 緑 298-22)
海岸道路 (角川文庫 緑 298-22) / 感想・レビュー
のっち♬
湘南の逗子から鎌倉・江ノ島を経て小田原へ抜ける海岸道路近辺を舞台に、文無しの無頼ながら不羈の精神を失わぬ主人公をめぐる奔放な女性関係が喜劇的に描かれる。プロット、登場人物、舞台設定などあらゆる面で著者曰く「習作の域を出ない」という『恋人たち』とその続編『はましぎ』を下敷きにしており、既視感を覚える場面がいくつもあるのだが、全体的にスピーディーな展開になった分だけ密度は更に希薄になり予定調和的な深みのない内容に仕上がっているのが残念なところ。食べ物がとにかく不味いと奈良県に対する辛辣な文面もいかがなものか。
2018/10/13
GaGa
この作品は初読。立原正秋はもっと再評価されるべき作家だと思う。男女の男女の機微を描かせたら、吉行淳之介とともに双璧なのではないか。ただ、読むほうも大人であることを強いられる嫌いはあるが、これは昭和作家で官能よりな恋愛小説を書く人にはありがちな作風だが。しかし、風俗的な部分は懐かしく読んでいる自分がいて、そこはまあ、若い人にはきついのかなあ。
2013/04/20
Shin
20年程前に読んだ『恋人たち』が印象深く、久しぶりに立原さんを読もうと、たまたま購入したのが『海岸道路』でした。 読み始めてすぐ気づいたのですが、『恋人たち』と設定がほぼ同じで、半世紀程前の鎌倉を舞台にした内容でした。 最近、『ビブリア』等、鎌倉ブームですがこの書は古き良き鎌倉と男女の思いを上手く描いていたと思います。 道雄の回転の速さもさることながら明子が一枚上手であった。 また勢津子も道雄の子を宿すと思ったのですがねぇ!?
2012/07/07
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