悪魔の手毬唄 (角川文庫)
悪魔の手毬唄 (角川文庫) / 感想・レビュー
Kircheis
★★★★★ 金田一シリーズの岡山編はどれも安定して面白いのだが、その中でも最も好きな作品がこれ。 見立て殺人は既に『獄門島』で扱われていたが、本作は殆どの住民に忘れられたような古い手毬唄がうまくトリックに用いられている他、顔のない死体の使い方も工夫されていて骨太ミステリとなっている。 また、本作では不幸に負けず気丈だった里子や、三重の悲劇に襲われるイケメン歌名雄などをはじめ魅力的なキャラが多い上、過去の殺人と現代の殺人が絡み合って謎を深めている点もGOOD(≧∀≦)
2020/12/28
夜間飛行
岡山と兵庫の県境にある鬼首村。旧友磯川警部の勧めで休養のためこの地を訪れた金田一耕助は、戦争を挟んだ二十年前の殺人事件が迷宮入りのままである事を知る。そんな彼の眼前で、今また手毬唄の歌詞に沿って娘達が次々と殺されていくのだ。土俗を忘れたような顔をした山峡の村にも戦争は傷痕を残していった。目まぐるしい競争に没落する家系や落伍する人々など、戦後日本に遍在した闇が土俗の闇と混じり合い読む人を戦慄させずにはおかない。時を隔てた両事件はいかなる因果関係を持つのか。過去と現在を探る探偵は靄の中を行く旅人のようだった。
2022/07/10
こーた
二十三年前に起きた未解決事件。鬼首村へやってきた詐欺師の男は、ある夜こつ然と姿を消す。神戸で活動弁士をしていた男を殺害して。残された謎と、子どもたち。殺されたのはほんとうに元弁士の男なのか。時代は敗戦を経て戦後の民主主義へ。村には二大勢力があり、産業があって、若者がいる。帰ってきたグラマーガールと、謎の老婆。歓迎ムードのなか、手毬唄になぞらえた見立て殺人がふたたび村を襲う。磯川警部の執念が、休暇中の金田一さんをたきつけて、過去の事件までまるっと解決へ導く。金田一耕助の最高傑作、といっていいのではないか。
2019/12/31
へくとぱすかる
横溝作品のベスト1とも言われるだけあって、ストーリー・犯人・トリック全てを知っていて、なおかつ楽しく読んだ。先日、映画を見たので、自然に作品世界のイメージもできた。映画よりも構成が当然ながら緻密だし、思わず唸ってしまうほど丁寧にできている。金田一耕助と磯川警部、そして村人とのやりとりや、行動・風習の描写など、ミステリ要素以外の、小説としての魅力もすぐれている。奇跡的なトリックを成立させるために、いかに自然に作品世界を作り込むか、作者の努力がしのばれる。発表から60年を経ても魅力のあせない作品。
2020/04/20
ehirano1
おどろおどろしいタイトルですが、それ以上に登場人物整理でそれどころではありませんでしたwww。「偶然はない、全ては必然である」とは云われますが、それに気づいた時に起こる悲劇を物語にした筆力に感服です。
2023/04/22
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