悪魔が来りて笛を吹く (角川文庫)
悪魔が来りて笛を吹く (角川文庫) / 感想・レビュー
Kircheis
★★★★☆ 金田一シリーズの中でも有名な作品であり、リーダビリティは高い。あとタイトルが秀逸。しかし、登場人物に癖がありすぎ、読んでてモヤモヤした。 本作でも金田一の推理は後手に周り、犯人に殺害計画を完遂される。犯人はそれほど意外ではない人物だったのでもうちょい早く捕まえられた気がするのだが… 偶然が重なって犯行がうまくいった部分が多いので、ミステリとしての評価はあまりできないかな。ただし陰鬱な雰囲気はさすがだと思う。
2021/03/01
こーた
戦後間もない混乱期。東京ではいたるところ闇市がたち、華族の旧家は没落して焼け残った麻布の屋敷できゅうきゅうの暮らしをしている。一方、銀座の宝石店では、世にもおぞましい殺人強盗事件がおきていた。斜陽族と帝銀事件。いっけん無関係におもえるふたつをつなぐのは、悪魔!?計画停電が実施されて真っ暗闇な夜、砂占いで浮かびあがった火焔太鼓。そこへ突然響きわたるフルートの調べ。悪魔が来りて笛を吹く。きゃー!!金田一先生は事件を、というよりは人間関係を解きほぐすべく、瀬戸内海の島へ向かう!てやっぱりそっちの方へ行くのね。
2018/06/23
nobby
そうか!『悪魔が来りて笛を吹く』というレコードが流れるのか!冒頭から示される曲説明に始まり、いきなり語られるのは一世を震撼させたという天銀堂事件。その容疑者ともされた椿子爵の失踪及び自殺、はたまた斜陽階級の堕落ぶりを目にしながら連続殺人にのめり込む。そこに悪魔の紋章とか黄金のフルートなんて埋め込まれるのは反則!流れるままの一気読みに、大きな捻りはないが気になる展開や伏線には唸らされるばかり。徐々に屈辱や畜生などと言い表される事実が浮かんでくる虚脱感が横溝作品の真骨頂。実際に曲を吹いていれば…の後悔は衝撃!
2018/06/16
エドワード
先日のNHKの放送を見て再読。やはり東京での金田一耕助の事件は妖しい。銀座の宝石店で起きた大量毒殺事件。元子爵邸の占いでの殺人事件。「この家に悪魔がいる」「悪魔ここに誕生す」いつになく恐怖の連続だ。戦争は国民全ての生活を変えた。たくましく再起する庶民に対して、特権階級のもろさはまさに斜陽、これは生きる目的を失った貴族の滅亡の物語だ。事件の鍵となる須磨の別荘での出来事、これが目を覆いたくなるような不幸の連鎖。自分で生きる力の無い者はみな死んでいく。子爵の娘、美禰子―この名前の美しさ!―の未来を信じよう。
2018/08/12
さるまる
言わずと知れた横溝作品。 もはや古典なので古さは否めないがそこは日本のミステリーの起点と考えるべきだと思います。個人的には横溝作品で秀逸なのは謎とかトリックとかよりもその雰囲気。独特の雰囲気は他の追随を許さないと思います。
2020/10/24
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