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犬神家の一族 金田一耕助ファイル 5 (角川文庫)

犬神家の一族 金田一耕助ファイル 5 (角川文庫)

犬神家の一族 金田一耕助ファイル 5 (角川文庫)

作家
横溝正史
出版社
KADOKAWA
発売日
1972-06-12
ISBN
9784041304051
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犬神家の一族 金田一耕助ファイル 5 (角川文庫) / 感想・レビュー

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Kircheis

★★★★☆ 金田一シリーズの中でも特に有名な作品で、本作からミステリにおける覆面姿の登場人物を指して「スケキヨ」という隠語ができたほど。 見立て殺人や真相の悲劇性など『獄門島』と似た部分があるが、本作は犯人の意外性はない。しかし、登場人物の魅力では本作に軍配が上がると思う。 【法的視点】 作中である人物が殺人の事後従犯で数年は牢で過ごすように書かれるが、刑法上事後従犯なる概念はない。この場合、せいぜい証拠隠滅罪又は死体損壊罪の観念的競合にしかならず、銃刀法違反を含めても懲役刑にはならないだろう。

2020/05/11

青乃108号

何度も映像化されあまりにも有名な、スケキヨのゴムマスクや湖から突き出した男の両足など知ってはいたが、映像化作品は観る機会がなく。横溝正史の金田一物も何となく敷居が高い気がしてついぞ読む機会がなかったのだが、この度初めて読んでみた。いや、これは面白いなあ。これぞ探偵小説という感じ。偶然に負うところがあまりにも多いのが難点だけれど細かいところはどうでもいいや、というおおらかな気持ちにさせてくれる良い作品だった。

2023/04/25

夜間飛行

中学生の頃まで海外ミステリを好んでいたが、1976年に映画化された本作を読み、すっかり横溝ファンになった。近代化による莫大な富を手にしながら、封建的価値観に雁字搦めにされた一族。その和洋折衷の館で、三種の神器を模した斧・琴・菊が殺人の主動機と関わりながら見立てを構成している(ただし斧の見立ては弱い)。どの推理小説もそうだけれど、本作は殊に読者に示される犯人の虚像と解き明かされる実像の隔たりが見事だった。トリックはシンプルで、意外性を無理に求めない。脳髄が引きしまるようなミステリ空間を堪能できる一冊である。

2020/01/09

こーた

再読、ということなら、いちばん繰り返し読んでいる小説かもしれない。襖を外した畳敷きの大広間に、犬神家の一族がずらりと並び、その席で遺言状が読み上げられる。端のほうにはチューリップハットに袴姿の金田一耕助がちょこんと座って、庭先には湖がひろがり、そのうえに雪が散らつく。謎の復員兵、斧琴菊(よきこときく)、スケキヨのマスク。キーワードは、愛だ。いっけん陳腐にもきこえるが、幾重にも連なりもつれた愛を、名探偵がていねいに解きほぐしていく。そうそう、おれの読みたかった金田一はこれだよ!読むたびにいつも、そうおもう。

2018/12/27

nobby

スケキヨの白マスクとか、湖上逆立ちなどの衝撃シーンから、原作・映画とも初めてながらも既視感あって読みやすかった。犬神家というネーミングからもう不気味さ満載だが、戦争前後を舞台に男尊女卑からの血縁の混沌も加わり作品全体としての雰囲気も抜群。何と言っても佐兵衛翁の遺言状の内容が周到過ぎて、とにかく冷遇される三姉妹が忍びない…三種の家宝という斧(ヨキ)琴(コト)菊(キク)の見立ても、一見安易に思わせながら気付けば感嘆させられていた。本編中の随所で「この時気付いていれば…」と振り返る記述差し込まれる描写はお好み♪

2018/03/02

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