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夜歩く (角川文庫)

夜歩く (角川文庫)

夜歩く (角川文庫)

作家
横溝正史
出版社
角川書店(角川グループパブリッシング)
発売日
1973-03-01
ISBN
9784041304075
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夜歩く (角川文庫) / 感想・レビュー

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nobby

『夜歩く』そのまんまなタイトルがいい。佝僂(せむし)や夢遊病、その時代錯誤な事柄にすっかりのめり込む。首無し連続殺人という惨殺の舞台となる古神家に溢れるのは背徳・欲望・淫靡やら因縁にまみれた狂喜。小説の様にと形容されるほど、思った通りに進みながら不気味さ漂わせる事態に翻弄される。これは犯人分かりやすいと勝利の快感に酔っていたら、見事にひっくり返され我敗れたり(笑)金田一耕助の遅めの登場やあまり活躍しない様さえ巧みな構成の一環とは恐れ入る。大半の人物が異常でありながら、陳腐にならず堪能出来るのも素晴らしい!

2017/10/19

とも

背筋が凍る…の表現は言い過ぎかもしれないが、ここ最近の推理小説には及ばない怖さと奥深さが感じられた一冊でした。トリックにしても、謎解きにしても今の時代からみても遜色無く色褪せない輝きを魅せる横溝正史氏の一冊。

2015/11/27

夜間飛行

顔のない死体のトリックを見事に応用している。さらに、凶器が金庫の中というオマケつき! 三つの殺人(三つ目は未遂)すべてが顔のない死体のトリックを用いているが、たぶん、第二の殺人をメインにして組み立てたのだろう。単なる連続殺人ではなく、(動機はもちろんトリックとしても)関連性があって、金田一が三つ目を防げたところを評価したい。この作品は金田一物としては古い方だが、私の金田一ベスト3である『犬神家の一族』『悪魔の手毬唄』『八墓村』の要素がすべて入っている。話の面白さとしてはベスト3に負けると思う。

2012/12/15

aquamarine

二人の佝僂男、首なし死体、夢遊病。横溝作品らしい雰囲気はそのままですが、なぜか今回金田一がなかなか出てこなくてやきもきしました。舞台を移してようやく金田一が颯爽と(?)現れ、ささっと新しい事実を暴いていく様には相変わらず感心させられます。思いがけない事実がわかった後、自分の頭の中でドミノが倒れるようにパタパタと色々なことが繋がっていく様は気持ちが良かったです。犯人の心境はいかばかりかと思いますが…。確かに有名な他作品と比べたら派手ではないかもしれませんが、ある意味今風のこの作品、私はとても好みでした。

2017/06/28

HANA

令和最初の一冊も横溝正史で。考えていたトリックを『刺青殺人事件』に先を越された為デッサンが狂ったと言われているが、そのせいか逆に熱病に魘されたような異様な読後感がある。首の無い死体に因襲に囚われた一家、病的な登場人物に夢遊病に岡山と著者のエッセンスが凝縮された内容だし。真相こそ名前を出すだけでばれてしまう某作家の某有名作品を連想させるが、そこに至るまでの伏線がやはり見事。何より探偵小説家という主人公と探偵小説を書くという行為が意味を持っているのが堪らない。でもやはり本作も現在だと書く事が出来ないかなあ。

2019/05/01

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