魔女の暦 (角川文庫 緑 304-25)
魔女の暦 (角川文庫 緑 304-25) / 感想・レビュー
nobby
何だかもうB級要素の集大成みたいな中編2つ。どちらともヌード・ダンサー達をめぐる男女の顛末を描くが、その風紀乱れる様には呆れるばかり…「皮膚の感覚アソビ」を女達とくり返す色男や、夜の女でなければ浮気OKとする男に、逆にズベ公を買った男をかわいいと笑う女、マゾにサジストに被害妄想症に盗撮魔…終いには乱交の末に恨みつらみとは…連続殺人が金田一に届く新聞からの切り抜きによる手紙から始まるのは魅力的だし、なかなか捻られた真犯人や真相に繋がる物証はサスガと思えるけど、そろそろ堕落や破廉恥な世界から抜け出したい(笑)
2019/03/24
Kouro-hou
東京のストリップ劇場を舞台とする連続殺人事件「魔女の暦」「火の十字架」を収録。どちらも同名短篇の長篇改訂。作品に直接の繋がりはないが時系列的繋がりが有り、金田一さんに謎の犯罪予告状が届くという共通点がある。個人的には「火の十字架」の方が好きで、作品構造としてはむしろ戦後直後の作品に近く「魔女の暦」よりトリックも凝ってますが、横溝本人が言っていたように「風俗の作品は(後世に)残らない」と今となっては描写的に辛いものもあったりします。最後の事件は金田一さんのおかげで未然に防がれたのは褒めてあげて欲しいですw
2015/05/25
ジャム
金田一耕助が挑む怪しい夜の世界。表題作「魔女の暦」は、ストリップ劇場で衆人環視の中吹き矢による殺人事件が起こる。愛欲塗れる夜の世界の不可能犯罪の数々をロジカルに紐解く佳品。明かされていく人間関係も濃密です。そして、もう一篇の「火の十字架」もまた夜の世界で起こる殺人事件で巧妙な伏線をしいたトリックとこれまた夜の人間関係の濃密さで読ませます。金田一耕助が冒頭で「ぼくもおいおいメイ探偵になってきましたぜ」と等々力警部に語るところから始まるのが印象的です笑
2015/06/29
不見木 叫
劇団を舞台にした中編と短編。魔女の暦のドロドロとした雰囲気とそれを解いていくロジックが好対照で自分好み。
2013/12/30
marty@もぶおん学
所収作「火の十字架」を読む。とある人気ストリッパーは、新宿・浅草・深川に劇場を構え、それぞれに情夫のマネジャーを配して手広く活躍していた。うち浅草の劇場のマネジャーが惨殺され、当の彼女の方はトランクの中から昏睡状態で発見された。殺害方法は、金田一耕助シリーズでもトップクラスで残忍なのだが、被害者も含めた主要登場人物たちの戦時中から尾を引く異常性が明らかになるので、そこまで気の毒な感はない。通俗性強めのストーリーだが、顔のない死体やアリバイトリックなど、ミステリ要素も堅実に取り入れらている。
2024/01/08
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