スペードの女王 (角川文庫 緑 304-31)
スペードの女王 (角川文庫 緑 304-31) / 感想・レビュー
oser(読書家ではありませんドクシャーです)
流石の没入感がたまらなく。 …横溝センセは物語の作り方(というか読ませ方?)がやはり上手い。安定のオドロオドロ感、奇妙な残忍性ながらイヤミスのような不快感はそれほど感じ得ず。不思議。 …金田一シリーズ特有の戦前戦後の不安感を煽る虚飾性が唯一無二。また長編としてもしっかり作り込まれており面白く(このボリュームをプロット無しで書くのだから凄。) …「スペードの女王」というセンセらしいタイトルも相まって魅力的的な作作品だと思うのだが、いかんせんラストが弱い。弱いよぅう。
2023/09/29
Kouro-hou
海で「スペードの女王」の刺青のある女性の首無し死体が発見。身元はすぐにわかったと思いきや、知らない間に同じ刺青を彫られたという行方不明の女性がもう一人いる事がわかり…、という首無し死体のトリックの発展系。元々は「双生児は囁く」(1948)の前半部分が「ハートのクイン」(1958)という金田一モノ短篇になり、後に長篇改訂された(1960)最終形。短篇版とは犯人が違っており、こちらでは元犯人役が「自分は犯人じゃない」とバタバタしたり、これでもかこれでもかーとアリバイを積み重ねるところがちょっと微笑ましい。
2015/04/06
みみずく
「顔のない死体」が見つかり、被害者はあの人?それとも…というストーリーに、「内股にスペードの女王の入れ墨」が加わるとなんとも艶めかしい雰囲気が醸し出される。そこに金田一耕助と等々力警部の仲良しエピソードがちりばめられていてなんとも良いバランス。そしてたった一つのセリフの応酬で、読み手に注意を喚起して犯人をほのめかす…この技を堪能できてとても満足した。
2014/12/27
みんち
引き続き金田一耕助シリーズから、長編「スペードの女王」を読了。この作品は元々「ハートのクイン」という短編だったものを大幅に補足・加筆をする事で長編として完成させたもの。ちなみに今作で重要な役割を果たす入墨師の「彫亀」氏は、短編「双生児は囁く」に登場したキャラクターと同一人物で、金田一とも面識がある事になっているがそちらの事件は文章化されていない。物語は、海で一人の女の首無し死体が発見されたところから始まる。女には首が無かったが、その身体に余人には有り得ない特徴があったため、すぐに身元が判明する。
2016/11/10
不見木 叫
首のない死体・内股の入れ墨、さあ殺されたのはどちらの女か…。王道のガジェットに横溝正史らしいアレンジが加えられている。自動車が使われるシーンがあったりと現代的な雰囲気は新鮮味がある。
2014/03/16
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