毒の矢 (角川文庫 緑 304-39)
毒の矢 (角川文庫 緑 304-39) / 感想・レビュー
nobby
高級住宅街 緑ヶ丘を舞台に、怪しい手紙を題材にした中短編2編。そのうち表題作な中編「毒の矢」は自信持ってオススメ!新聞や雑誌からの切り抜きで作られた“黄金の矢”なる署名で届く脅迫状。こんなワクワクな設定から繋がる不可解で面倒な殺人の背景は、時間・人物・場所とも実にコンパクト。それでいてハートのクイーンなど意味深な事柄に加えて、二転三転で明らかになる些細な伏線に気付かされるのが鮮やかそのもの!その余韻のまま描かれる短編「黒い翼」はタチの悪い不幸の手紙が題材。相変わらず金田一は目の前で人が死んでから語るのみ…
2019/01/30
のびすけ
金田一耕助もの。事件の鍵となるのは、同性愛、トランプの刺青、密告状、そして被害者の養女でボンちゃんと呼ばれる星子。ボンちゃんは脚が不自由で、危うく第2の被害者になりかける。事件の顛末とトリックも読み応えがあったが、それ以上にボンちゃんの周りの人間模様が面白かった。事件解決後の爽やかなエンディングがとても印象的。他1編収録。
2021/06/09
kagetrasama-aoi(葵・橘)
中編「毒の矢」とその続編みたいな感じの短編「黒い翼」の二編。金田一探偵の後期のホーム・グラウンドとも言うべき”緑ヶ丘町”で起こった事件、二件。「毒の矢」はクリスティを彷彿とさせられる”匿名の手紙”がポイント。カーもこういう趣向で書いていたし、なんとなくイングランドっぽいなぁ……と思うのは私だけ?アメリカ帰りの夫人の過去が如何にも当時らしくて、感心しました。
2019/01/24
Kouro-hou
短篇を長篇化した「毒の矢」、時系列的に直後の短篇「黒い翼」の緑ヶ丘を舞台にした金田一シリーズ二本立て。通俗期の作品ですがエログロ少なめ。脅迫状、不幸の手紙をテーマにした郵便物?モノ。そんなわざわざ入り組んだトリッキーな殺し方しなくてもいいんじゃ?と思ってしまうのは秘密。新聞の文字を切り抜いて作った脅迫状なんて現在では絶滅してそうです。海外でサーカスの花形として活躍&運営し一財産築いた女性が被害者なんですが、横溝先生はそういう進んだ女性に冷たい一面があって、まあ、もにゃもにゃしたりもします。
2014/12/27
みんち
引き続き金田一耕助シリーズから、中編「毒の矢」を読了。併録は、その続編的な短編「黒い翼」で、後に金田一のホームグラウンドとなる架空の住宅街「緑ヶ丘」を舞台にしたシリーズ展開の第一弾、第二弾となる。「毒の矢」の方は過去に何度かリライトされた事がある短編を最終的に中編まで膨らませた完成形とでも言うべきもので、それだけに殺害トリックは単純ながらも意外性のあるものとなっている。物語は、金田一が緑ヶ丘に居を構える知人からの依頼を受けるところから始まり、その依頼内容というのが近頃、近隣に出回っている怪文書の正体を
2016/11/18
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