病院坂の首縊りの家(下) 金田一耕助ファイル20 (角川文庫)
病院坂の首縊りの家(下) 金田一耕助ファイル20 (角川文庫) / 感想・レビュー
Kircheis
★★★★☆ 上巻に続き、下巻では現在(昭和50年)の事件が描かれる。 当然上巻での事件の真相も語られるのだが、これは多くの人の想像通りのものだろう。そして現在の事件も、自作『蝶々殺人事件』のトリックを堂々と転用していた以外に見どころはなかった。 ミステリとしては特に面白みがない作品だが、明治から続く法眼一族の物語としては読み応えがあった。 また脅迫ビデオの「お前たちは呪われている」のリフレインが子供の頃怖すぎたのが印象に残っている。 とりあえず全ての元凶は五十嵐猛蔵だな…こいつが一番のゲス野郎だ。
2020/12/30
HANA
昭和48年、生首風鈴事件から20年の時が過ぎた。一応の解決を見た事件だったが、一人の関係者の死から再び事件が動き始める。こういう時を超えた事件というのは大好物なのであるが、それに輪をかけて金田一物、もはや何をや言わんかで一気読みだった。等々力警部を始め関係者の現在も興味深いけど、その中で住所以外ほとんど変わっていない金田一って…。上巻に続いて因習に満ちた村さえ無いものの、著者のもう一つの特徴である華麗なる一族は全編に満ち満ちていて。著者全盛期には及ばないものの、金田一耕助最後の事件に相応しい事件でした。
2020/03/13
TAKA
本條写真館と法眼家との繋がりは恐喝によるものだった。恐喝による恐喝が殺人事件に発展していく。なんかゆったりとしたような感じを受けたのはやはり金田一さん最後の事件だからか、等々力警部も退職されたからか覇気が感じられず。多門修が代役を務めたような。タイトルからして粋だなあと思う。風鈴が事件の謎を解くのかと思えばそうでもなかった。やっぱり金田一作品は面白い。まさか、最後にSMが出て来るとは…。
2019/11/01
オフィーリア
戦後の名家を舞台にした令嬢誘拐、不可思議な婚姻儀式、そして首切り死体。絡みに絡み合った複雑怪奇な人間関係から生まれた怪事件、解決に20年もの月日を要した壮大な物語の結末は、金田一耕助最後の事件として読者に強烈な寂寥感を与える。濃密な読書でした。
2024/08/14
エドワード
横溝正史も市川崑も憧れたミステリー作家はアガサ・クリスティー。市川五作品とほぼ同時期に「ナイル殺人事件」などが作られ、豪華な俳優陣によるリゾート地での華麗なる火花が見せ場であった。ミステリーはエンターテインメントであり、豪華でなければ陳腐になる。市川五作品はオールスターキャストで映像が美しく、めくるめく映画ならではの楽しさに満ちている。「犬神家の一族」の家屋の美しさ、山や竹林や紅葉、被害者の和服姿すら美しい、日本の美。今ではもはや作るのは無理と思わせる、俳優の層の厚さ。再放送の度に見てしまう魅力がある。
2016/07/19
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