にぎやかな未来 (角川文庫 緑 305-3)
にぎやかな未来 (角川文庫 緑 305-3) / 感想・レビュー
ばりぼー
氏の文壇デビュー作「お助け」めあてに、およそ35年ぶりの再読。大昔「スーパージェッター」という白黒テレビアニメがあり、30秒間時間を止めることが出来るタイムストッパーが憧れのアイテムでした。時間を止めることができたらどんな悪戯も可能だと、凡人の妄想は卑近なところで膨らむだけですが、それに対して「お助け」のシニカルな結末は、実に残酷。江戸川乱歩に認められただけのことはありますね。アイデアに唸らされるショートショートの秀作ぞろいですが、「腸はどこへいった」「亭主調理法」「踊る星」「無人警察」などが特に印象的。
2014/12/01
メタボン
☆☆☆★ 筒井康隆の初期短編集。発想は流石という短編が多いが、筒井康隆らしい玄人的な文体はまだ完成していない。面白かった作品は、先へ先へと予想していく「超能力」、大量の糞便が異空間へ「腸はどこへいった」、究極のさげまん「スペードの女王」、すごく壮大なパチンコでのすり方「パチンコ必勝原理」、化かしあいの心理戦「きつね」、誰にも気づかれないじわじわとした死「お助け」、静寂こそが最大の贅沢「にぎやかな未来」。
2019/01/12
501
41編のショートショート。収録数の多さに対し、似たものがなく退屈感なく次々読める。どこか既視感がある作品も多いが、筒井節が織り込まれるとよいスパイスになる。スパイスといってもあっさり目。強い刺激を求めるには物足りなく感じるかもしれない。"地下鉄の笑い","遊民の町","にぎやかな未来"がよかった。
2017/05/14
アーチャー
○十年ぶりのの再読。私が初めて買って読んだ筒井作品であり、短編集の世界を楽しさを初めて味わせてくれた本でもあります。このシニカルさとユーモアが後の私の読書に大きな影響を与えていることを今回痛感しました。時代の差を感じさせる作品もあるけど、星新一氏の解説が読めるという意味でも貴重&豪華な1冊だと思います。
2014/01/01
TSUBASA
CMが必要以上に街に蔓延るようになった未来を描く表題作を含む筒井康隆の商業誌デビュー1作目が含まれた初期ショートショート集。若干荒削りな感があって、面白さが伝わりにくい作品もちらほらあったけど、秀逸な作品も勿論多い。ちょっとした手違いでとてつもなくグロテスクな話に見えてしまう『亭主調理法』とか便意が消え失せた男の末路が可笑しい『腸はどこへいった』とか悪ふざけがきいている作品が個人的には好みだけど、『お助け』とか『悪魔の契約』、冒頭の1行でギョッと驚かせ、わずか5行で集結させる『到着』なんてのも上手い。
2015/01/11
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