KADOKAWA Group

Facebook X(旧Twitter) LINE はてブ Instagram Pinterest

大義の末 (角川文庫)

大義の末 (角川文庫)

大義の末 (角川文庫)

作家
城山三郎
小松 伸六
出版社
KADOKAWA
発売日
1975-08-15
ISBN
9784041310083
amazonで購入する

大義の末 (角川文庫) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

まつうら

大義とはすなわち、国家に尽くす道。戦時中は当たり前のことだったが、終戦を迎えて戦後になったとき、かつての大義はどうなったのか? 大義をつくした天皇とは何か? とても難しいテーマを問う作品。主人公の柿見は、青春時代を大義にかけたが、戦後はまるで抜け殻のよう。大義をつくすことしか教えられずに育ったので、それ以外の生き方ができないし、わからない。ちょっと不器用な気もするが、青春を否定されたくない気持ちは理解できる。そんな柿見の言葉は、解説者によると著者自身の懊悩らしい。作家になることで懊悩は晴れただろうか?

2022/12/12

高橋 橘苑

作家城山三郎を語る上で避けて通れない作品ということで手にしてみた。自分自身考え方がやや保守的だと思うが、ネトウヨ全盛の今の時代にはかなり違和感を感じている。それでも世代の違いなのか、筆者の皇太子に対する思いがよく理解できない。そういえば、藤沢周平氏も君が代だけはどうしても歌えないとか、司馬遼太郎氏も国家に対する幻影が無いとか語っていたが、なんか似たような意味なんだろうか。文中で森が言う「すべての大人たちがやりたいことをやり、言いたいことを言わなかったからこそ、ファシズムになったのではないか。」

2013/10/22

戦争に行って生き残って帰ってきた軍人さんは戦時中の忠君愛国やあんなに叩き込まれた大義とはは何だったのかと天皇や皇太子に対し怨みに近いものを持ってしまうかもしれないと思います。しかし上手くは言えないが大義=家族や愛する人と自分の中で見出し、母を守る為、妻を守る為、自分が死んでゆきますと戦死された方々のご意向を汲んであげるのは当然だと思うのですが・・。二作目の軍艦はためく丘に、どこかで読んだ内容だった。終戦間際の海軍の生活がとてもリアルです。

2013/02/22

ぼけみあん@ARIA6人娘さんが好き

杉本中将の『大義』を読んで感動し、海軍に入隊した著者の体験を下にした作品。他に短編「軍艦旗はためく丘に」を収録。以前、著者の没後にNHKで著者の軍隊経験を取り上げていて、『大義』にも触れていた。それで興味を覚えたのだけど、『大義』そのものは見ることが出来ないので、その代わりに購入した本。本書だけでは分からないが、『大義』に描かれた熱き理想を信じて志願したものの、現実は正反対だった。当時そのような体験した若者は多かった。著者もその一人である。昨今戦前の美化が行なわれているが、現実はまるで違うと訴えている。

2014/10/16

みず

柿見の周りの登場人物たちの態度が変わったり考えが変わったり、人間味を感じました。周りの人々が自身の都合の良い方へ流される中、考えを曲げることのない柿見に過去を忘れない誠実さを感じました。根本で変わらない考えを持つ森は暖かく柿見に味方するが、柿見は最終的に行動に出た。それは今まで溜まっていた何かが爆発したかのようで。柿見の周りの人々は生き抜くため、変化していく。 大人たちにすり潰されてしまいそうな柿見の気持ちが痛いほどわかります。

2020/12/29

感想・レビューをもっと見る