零からの栄光 (角川文庫 緑 310-17)
零からの栄光 (角川文庫 緑 310-17) / 感想・レビュー
まつうら
川西竜三と川西飛行機を描いた物語。川西飛行機といえば、紫電改。戦争末期に大活躍を見せるシーンはワクワクものだが、米軍の圧倒的な物量を前に、残念ながら戦況は変えられない。このとき、川西飛行機の工場を正確に爆撃していくB29編隊の存在があり、米軍の諜報網が日本国内に張り巡らされていたからだと思うと、恐ろしい。戦後はGHQに飛行機製造を禁止され、川西竜三も亡くなってしまうと、なんだかつまらない会社に陥っていく。新明和工業として現存している会社だが、そこに紫電改を開発した川西飛行機の面影はもうない。合掌。。。
2022/10/27
モリータ
車の運転中、前を走っているトラックや工事車両の後部に"ShinMaywa"というロゴが入っているのを度々見る機会があり、何となく気になっていた。それとは別に、海自の飛行艇US-2の離水時の写真が美しかったのでPCの壁紙にしていたのだが、ふと気になって調べてみたところ、九七式・二式大艇を作った川西の後継会社の製造ということを初めて知り、傑作機の技術が今も生きていることに感動した。その新明和工業が上記の特殊車両も手がけていること、そして甲南・鳴尾・宝塚といった自分になじみの深い土地でスタートしたことも知った。
2013/10/10
北之庄
自宅の隣町である宝塚に本社を置く、新明和工業を描く本作。同社の前身は、本土を跳梁する大戦末期の米軍機を震え上がらせた名機、紫電改と二式大艇を以って結実した、多数の水上機群を得意とした川西航空機。北摂の雑穀問屋から身を起こし、織物・鉄道・倉庫と業容を拡大した川西財閥。確たる後ろ盾無く、ジェニジェニが口癖の、根っからのあきんど社長清三と同社幹部達が胸を熱くした、戦中戦後の飛行艇開発物語。因みに先年、辛坊治郎さんを救出したのも、新明和の最新鋭飛行艇。
2017/04/24
AU.Step
ビッグコミック増刊号で連載している「US-2救難飛行艇開発物語」を読んでいて本作を思い出し、本棚を探して引っ張り出して久々に読んでみた。現在の新明和工業をその前身である川西航空機時代から歴史を辿り、戦後のPS-1開発までを描く。歴代の名機開発の現場だけに偏らず、裏で会社が抱えていた問題点などを描くなど、経済小説としての側面も強い。
2019/08/02
ナポリノロク
かつて西宮にあった川西航空機の物語。天才集団の痛快なエピソードから、知らなかった郷土の話まで、すっかり興奮して読んだ。
2016/06/10
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