書を捨てよ、町へ出よう (角川文庫 緑 315-7)
書を捨てよ、町へ出よう (角川文庫 緑 315-7) / 感想・レビュー
ひめありす@灯れ松明の火
書を捨てよ、町へ出よ。このタイトルを初めて見た時には、本当に頭に来てしまったけれど、読んでいくうちに彼が書を捨てたかった理由、町へ出よ、と強い口調で促している理由がわかって少し切ないような、ごめんなさいと言いたくなるようなそんな気分になりました。一冊まる○が、暴力的なアナーキズムに満ちている様なのに、その逆を優しく繊細に語りかけています。『永遠の文学青年と、永遠の不良文学少女へ』そんなキャッチコピーで次の方へと託しました。やっぱり本の好きな私にとっては『書を持って、町へ出かけましょ♪』になってしまいます。
2012/01/22
テツ
寺山修司によるエッセイ。というか彼の思想信条の(良い意味で)適当な垂れ流し。いつの時代にも定型的な生き方の中に埋没し「これでいいのか」と自問自答してしまう悩める若人って一定数存在していて、そしてそういう子たちが自縄自縛から解き放ってくれそうな人間の言葉に憧れてしまうという流れも変わらない。寺山修司の言葉や生き様に快哉を叫んだその手の若者たちも、また翌日には同じような日常に埋没していくのだろう。でもそれでいいのだ。実際のリアルな生活は何も変わらなくても、文学の力は内側のモヤモヤを少しだけ晴らしてくれる。
2022/05/31
ちぃ
“知識”ばかりがもてはやされるインテリ社会へのアンチテーゼ。快楽を感じるこの身体こそが“われわれ”そのものなのだ、ということを示す。学生時代に読んでたら危険だったかも。ほんとに学問放り出してふらふらと街をさまよってしまいそうな(笑)でもさ、何が違うって寺山修司も結局インテリだからね。その上で不良少年やるからかっこいいというか。寺山は太宰や石川啄木の影響を受けていた(というか東北人としての嗜み?)かもしれないが、伊藤計劃は寺山の影響受けていたんだろうか?ところどころに『ハーモニー』ミァハの言葉がだぶった。
2016/07/25
a43
すごい昔と、数年前、初めの方で挫折したが、今回はすんなりと。「ハイティーン詩集」で秋亜綺羅さんがトップでびっくりした。詩人は若いときから詩人なのだと思った。「自殺学入門」は前も読んだけど、二度目でも新鮮さがあるなぁ。国語で「今日の授業では、皆さんの遺書を書いてみましょう!(但し自殺の理由は空想で?)」とかいう授業やったらころされるだろうな……それにしても、エッセイなのか小説なのか、謎なジャンルを超えた本、さすが。
2015/04/08
双海(ふたみ)
林静一さんの絵の表紙。以前、別のカバーで本書を読んだ記憶があります。寺山は西条八十の詩集を愛読していたんですね。
2014/03/11
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