競馬への望郷 改版 (角川文庫 て 1-12)
競馬への望郷 改版 (角川文庫 て 1-12) / 感想・レビュー
masa
愛妻に先立たれてからめっきり精彩を欠き、寺山曰く「身についた孤独な性格のあらわれ」のようにいつもポツンと離れた最後方からレースを進めた吉永正人。その伝記を寺山はこう締めている。「馬主各位。調教師各位。もっと吉永に乗るチャンスを与えてやってください。人生で一番大切なものを失った男は、きっとレースで何かを取り戻すはずである」。寺山が亡くなる直前の皐月賞、吉永はミスターシービーに乗り追込みで勝利した。孤独なコンビはそのまま三冠を制覇する。何かを取り戻した男と稀代の追込み馬に寺山は天国でどんな詩を捧げたのだろう。
2020/11/27
夜梨@灯れ松明の火
再読。「馬券を買うことによって、私たちは自分自身を買う」。競馬を始めて2、3年の頃に読みました。その頃既に廃版になっている大昔の本でした。当然出てくる馬達も知らない馬が多いのですが、馬を知らなくても、そして今読んでも、胸が熱くなります。競馬を愛する限りは何度でも読み直すでしょう。…「振り向くな 後ろには夢がない」前を向いて歩いて行こう!
2012/09/11
双海(ふたみ)
競馬ってよくわからないです。
2014/05/03
yuma6287
競馬史を見据えた競馬短編集。高度経済成長期の競馬が中心で、知ってる方が珍しいウマと騎手ばかりでした。現代でも名前を見かける人や馬が少し出てくるので、競馬が地続きである事を偲ばずにはいられない。寺山修司が競馬を書くと、競馬狂や競走馬の当時の雰囲気が鮮明に想像できる。彼が時代の寵児であった事を想像できる本でした。昨今AIの台頭が目覚ましいですが、何を感じたかを残すというのは人間が成せる領域だと実感しました。初の寺山修司は古本屋から拾った1冊でした。次の寺山修司作品はどういう出会いになるでしょうか。
2024/02/18
あた
寺山修司の競馬への愛が語られている一冊。出だしの「さらば ハイセイコー」から騎手伝記は、当時の競馬観、賭け事の空気感を知ることができる。吉永正人、柴田正人の現役時代を知っている身としては、二人の描写は胸に迫るものがある。「競馬は物語」といえる1冊です。
2020/04/15
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