人形はなぜ殺される (角川文庫 緑 338-7)
人形はなぜ殺される (角川文庫 緑 338-7) / 感想・レビュー
chiru
人形の首の消失からはじまる『人形』を軸に起こる事件。 不気味さがつきまとう前半は乱歩小説を読んでる気分。 不可解な見たて殺人、奇抜な入れ替えトリックを『人形が殺される』というワンアイデアで引っ張り、本命トリックの謎から犯行動機が一気に氷解するように計算された演出が見事。『人形が殺されるのはなぜ?』の答え合わせに納得。 終盤まで推理が冴えなかった神津探偵と人のいい助手の松下君との掛け合いは、御手洗シリーズみたいで可愛いな。 ★4
2018/08/19
HANA
再読。やっぱり上手いなあ。人形の首が失われた後日起きたのは。ギロチンで首を刎ねられた死体。その後また人形が殺される事件が発生して…。人形が殺されたのをトレースするように行われる殺人ってだけでもう堪らないのに、『刺青殺人事件』の密室のように「何故それが行われなければならなかったのか」という必然性を与えているのがまた凄いな。事件を彩る手品やオールドブラックマジック、さらにはあるトリックの変形なのに読者に最後まで気付かせないある事と、この一冊の中に盛沢山。貴方もこれを読んで人形が殺される理由確かめてみませんか?
2019/08/03
ばりぼー
三十数年ぶりの再読。読み進めるうちに初読の時の衝撃が蘇ってきました。ギロチンで首を切断された「首なし死体」の第一の殺人も、マネキン人形が轢断された事故と同じように人間が轢殺される第二の殺人も、怪奇色の味付けがされながら、トリックは無駄がなくて実にスマート。古典的スタンダードとして押さえておくべき傑作だと思います。ただ、今作では、天才探偵の神津恭介も迷走して大苦戦するのが苦笑もの。素人に推理で後れを取るにいたっては、現代の鬼ミステリーファンなら「いい加減に気づかんかい!」とどつきたくなるでしょうね。
2014/08/17
背番号10@せばてん。
【1956_日本推理作家協会賞_候補】【1985版_東西ミステリーベスト100_32位】【2012版_東西ミステリーベスト100_28位】1988年3月3日読了。自分の中では、本書が高木氏のベスト。
1988/03/03
みなみ
人形が殺された後、人間も同様に殺されるという奇怪な事件。タイトルの謎掛けが本作の肝だが、登場人物が怪しい人ばかりで、見事に引っ掛かった…。解決篇を読んで、思わずなるほどと唸りつつもスッキリ。ギロチンで首を切断される第一の殺人も、人間が電車に轢殺される第二の殺人も、事件発覚時のおどろおどろしい雰囲気が魅力的だし、トリックも無理やりではなく良い意味で単純明快。
2018/05/27
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