大統領の晩餐 (角川文庫)
大統領の晩餐 (角川文庫) / 感想・レビュー
セウテス
オヨヨシリーズ第5弾。〔再読〕とある企業に荷担して、公害対策事務所の動向を探ろうと、事務所の猫に盗聴器を仕掛けたオヨヨ大統領。しかし猫が食べ物に当たって、具合が悪くなってしまう。病院へ連れて行かれ、盗聴器が見つかってしまうのは避けなければならないと、猫の強奪計画がスタートする。本作は随所に小林氏の知識の賜物が、ちりばめられている。料理の蘊蓄を挟む物語でもあるのだが、小林氏の読書の幅広さや量の多さが解ると言うものだ。怪人二十面相が老人となり後輩の大統領に助言に現れたのには、故郷を懐かしむ様な気持ちになった。
2019/07/06
たかなし
はやみねかおる先生の著書でちらっとでてたので読みました。テンポよくポンポンと物語が進んでくので良かったです。途中怪人二十面相のパロディーのよくわからん人が出てくるとこが好きです。
2018/06/27
まぶぜたろう
中高時代、山ほど繰り返し読んでたのを40年ぶりくらいに再読。ユーモア小説だけに、ギャグが古びていないか心配だったんだが、全くの杞憂だった。あいからず神・小林信彦の蘊蓄とギャグは冴えに冴え、登場人物がむみょーんと一同に会すクライマックスが嬉しい嬉しい。小林旭が親不孝な声で「ダイナマイトがヨォ〜」と歌い、明智探偵と小林少年は戦前の幻影を今なお求めているのだ。俺の中の多くが、少なくとも俺の中高時代は小林信彦でできていた。どんだけ影響されたか。地方の中坊は本書を読んで東京を目指したのだよ。(○○○○●)
2024/10/17
錯乱坊
個人的にオヨヨ大統領シリーズ中の最高傑作です。前作の『密使』も面白かったのですが、登場人物の魅力度でこちらはさらにパワーアップしています。求道の料理人とその師匠(実は大統領の変装)との蒟蒻問答はシリーズを通して白眉ですね。後旦那刑事とその妻の対話も(日活の団地妻シリーズのパロディなんでしょうが)ツボに来てますね。
やいとや
もっといろんな中華が出てくる印象あったが、そうでもない。「檀流クッキング」を読んでいた流れで、食べる小説は小林信彦だなと思い出し(「ドジリーヌ姫」は何度も読んでるので、今回はこっち)。解説が稲葉明雄で、「小説世界のロビンソン」で著者が論じている教養小説を挙げているのに驚いた。よく小林氏のエッセイに名前が出るが、相当に深く話し合ったのだろうな。本書に通底する不況の感覚って、今の30・40代にも形は違うがあるもののようである。ぼくはこの本を読んでも、山田風太郎を読んでも不況の感覚がない。バブル世代だから。
2019/06/07
感想・レビューをもっと見る