秘密指令オヨヨ (角川文庫 緑 382-7)
秘密指令オヨヨ (角川文庫 緑 382-7) / 感想・レビュー
セウテス
オヨヨ大統領シリーズ第7弾。〔再読〕今回は前作で初登場した、香港の楊警部を主人公に語られる。イタリアのミラノに飛行機が到着した所から物語が始まり、ローマ、リスボン、ロンドン、パリなど、ヨーロッパを歴訪する物語となる。ナチス親衛隊を援護する為に作られたと云われる、オデッサという組織に絡んで殺人事件が発生し、オヨヨ大統領も現れる。あの頃を思い出す様々な会話や描写は、当時を知る私にとって又10年後に読んでみよう、そんな思いにさせられる。後に平成を読むエンターテイメントミステリは、在るのだろうかと思ってしまう。
2019/08/06
まぶぜたろう
「失われたフィルム」ネタにナチを絡めたお話がまず素晴らしい。中坊の私は映画マニア(今で言うシネフィルだが、当時、日本にそんな言葉はなかったみたい)の生態に憧れたものだった。殺し合いをする映画蒐集狂の親子など、「キャッチ22」的なブラックな笑いも素敵だし、映画の小ネタも冴えている。「暴力をテーマにした映画を蒐集している」男が欲しいのは「ミスター・カトウの『緋牡丹博徒・お竜参上』」で、主人公は「シリーズの中で、とくに良い出来では」ないと評する。そして後年、私はそれが嘘であると気づくのだった。(◯◯◯◯)
2024/10/26
まのん☆
危うく本嫌いになるところだった40年数年前の私を救ったのが小林信彦のオヨヨ大統領のシリーズでした。中でもこの秘密指令がお気に入りで何度読み返したかわかりません。久々に読んでみて余りにも古いエピソードなどが現代の若い人には難解過ぎるだろうなーと思いました。なにしろ東西ドイツがすでにありませんものね。文体のクセも少し気になりました。でもやはり楽しかったです(^^)
2016/12/09
ぽけっとももんが
最近の小説は長すぎるのではないか。 この小説はこのボリュームで、十分すぎるほどのエンターテインメントを与えてくれる。時代が変わりすぎても、面白いものは面白いね。
2013/04/08
横丁の隠居
これも再々読くらいだと思う。サスペンスであり観光小説であるので、テンポが今一つだが、ところどころにある脱線が面白いのでそこを楽しみに読むことになる。作者はヨーロッパ各地、南はモロッコまで取材旅行をされたようだが、それが1972年。作中にすでに日本からのパックツアーが描かれているので、そろそろエコノミックアニマルの本領発揮といった時期だったのであろう。
2021/05/30
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