オヨヨ大統領の悪夢 (角川文庫 緑 382-12)
オヨヨ大統領の悪夢 (角川文庫 緑 382-12) / 感想・レビュー
セウテス
オヨヨ大統領シリーズ第8弾。〔再読〕本作は4作の短編からなり、一つ一つは独立した話である。しかし、ハッキリとは書いていないが、大統領の夢であるとも読み取れる。特徴は作家本人小林信彦氏がそのまま登場し、日々の作家活動の裏話や、時空を超えて現れた沖田総司との、最後を共にした話などが描かれている。作家本人が当時対面している周囲の事情や人間関係の煩わしさ、社会に対する問題を指摘するなど、その冷めた様な目で物事を見つめる文章は、私にとっては落ち着くと感じる。自分自身の言葉で伝える事が、大切なのだと学んだ作品である。
2019/08/07
kokada_jnet
30年ぶりの再読。作者自身をモデルにした主人公(ケメルマンやヘレン・マッキネスの作品を翻訳する描写は創作)が登場。オヨヨ大統領シリーズと、この後の唐獅子シリーズをリンクさせている短編集だった。唐獅子シリーズの「須磨組」が既に登場するし、喜劇的なヤクザのキャラ数名が登場。主人公が憎しみのあまり、何度も殺そうとしても、異常な幸運の連続で殺せない「真奇郎」が登場する作品「夢幻戦争」、これが最高作なのは、以前に読んだ時と同じ感想。沖田総司が登場する「虚名戦争」はイマイチ。
2021/08/17
kokada_jnet
70年代に角川文庫で出たこのシリーズを、ちくま文庫が90年代に再刊した際、この最終作の8作目だけが再刊されませんでした。その理由は、いまだに謎です。版元が「短編集は売れないだろう」と判断したのか。作者が「不出来なので再刊してほしくない」と言ったのか。その2つの理由ぐらいしか、思いつきません。
2021/08/15
ヴィンサニティー
全体の8割くらいがセリフでしょうか。 もはや台本に近い領域です。 あちこち笑いのツボにはまってしまって、電車移動中での読書では笑い声を堪えるのに苦労しました。 少し悔しいのは、この本が出版された時代に自分が生まれてなかったこと。 1976年ということで大分先輩なんです。 もしこの時代に生きていたら、文中に出てくる時代に則した言い回しがもっとすんなりと入ってきて、より楽しめたかなと思います。 「四畳半神話大系」のような味のあるアニメでまとめたりしたらかなり面白くなりそうです。
2021/03/07
錯乱坊
オヨヨシリーズ唯一の短編集です。何となくアンニュイな雰囲気を醸そうとして失敗している感じの作品集ですね。大統領には派手に暴れまわってほしいの一言です。
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