横溝正史読本 (角川文庫 よ 5-200)
横溝正史読本 (角川文庫 よ 5-200) / 感想・レビュー
へくとぱすかる
小林信彦との対談による貴重な証言集。自ら書かなければ、永久に埋もれてしまう情報を、インタビューという形式が引き出してくれたわけである。話がときおり脱線するが、そこにまた知られざる実情が語られていく。「きのうクリスティーが死んで……」の一言に、すごい臨場感が。1975年の対談である。戦前のミステリ界の実情や横溝作品の制作裏話が楽しい。対談に袴で現れて、金田一スタイルを称したり、レインコートを着てコロンボを気取るなど、横溝正史がサービス精神にあふれた人柄だったこともうかがえる。乱歩や安吾による作品評も収録。
2021/01/24
のびすけ
横溝先生と小林信彦氏による4回の対談集。横溝作品についての対談はそのうち1回だけで、あとは出版社勤め時代のエピソードや、同時代の国内外の探偵作家たちを論じた内容。対談集の他、戦後間もない頃の先生のエッセイ、乱歩・安吾・彬光による横溝の作品評、最後に年譜を収録。横溝作品と先生ご本人の裏話的な内容でいえば、「金田一耕助のモノローグ」の方が面白かったかな。
2022/06/18
**くま**
マニア本。横溝作品はもちろん海外古典のネタバレ超大量なので、これから横溝や海外古典読む方はこれは後回しにしたほうがいいんじゃないかな~。多分話を理解するのも難しいと思う。私はかなり読んでるほうなので問題なく楽しめました。乱歩ファンなので晩年の乱歩の話が切ない。古い版は横溝先生の日記つき、オープンすぎて受けた(笑)。安吾「不連続殺人事件」がスタイルズ荘だと横溝先生がおっしゃってて、私はナイルと思ったからびっくりしたけど、実はスタイルズ荘とナイルって似てるのね~。それにしても横溝先生の柔和な笑顔には癒される!
2014/05/16
Kouro-hou
横溝正史じゃないんだけど横溝角川文庫でナンバリングされている1冊。通し番号99。赤い装丁のレア本「赤本」と黒い装丁の改訂版「黒本」(日記が削除されてる)がある。目玉は小林信彦と横溝正史の長編インタビュー。戦前戦後の日本探偵小説の黎明期や当時の作家達との交流話や、著作権?ベルヌ条約?何それ美味しい?な戦前雑誌事情の話もカオスで楽しい。有名古典ミステリも含めた絨毯爆撃的にネタバレ解説対談も濃くて良い。歴史資料的にも貴重な本なんですが、横溝文庫でコレは電子化されてなくて絶版状態なんですねえ…。
2014/05/04
なつき
横溝正史自身がこんなに面白い人だったとは。金田一シリーズが疎開先で書かれた事は知っていたが,それ以前に雑誌の編集を経験し海外の探偵小説、推理小説を深く読み込まれているのが良くわかる。戦前戦後の小説家たちとの交流も面白いが何より日本の探偵小説黎明期から今日までの歴史が面白い。
2013/08/13
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