麻雀放浪記(一) 青春編 (角川文庫)
麻雀放浪記(一) 青春編 (角川文庫) / 感想・レビュー
とびほびこび
ゲスの極みバイニン。それは戦後の復興の世に生きた男達の生き残る為の術か、バイニンとしてのプライドか。手垢で薄汚れたしわしわの札束や家の権利書までもが雀卓の上を飛び交い四角い戦場を取り囲む男達。ドサ健、上州虎、出目徳、女衒の達。どいつもこいつもクセ者揃いだが貪欲なまでに技を高め勝ちに飢えた坊や哲は一番ゲスいのかもしれない。おっとこいつはいけねぇ、そんな男達にうかうか魅了されちまった。まずは字一色十枚爆弾の練習からだなw。何?ゲスい?ありがとう、それは最高の褒め言葉だよ。
2014/09/01
GaGa
随分前に映画を見たが、かなり原作に忠実な事がわかった。映画から漏れたところでは、牌の裏面の傷や汚れで何の牌かを識別する「ガン牌」の達人、清水のエピソードがなかなか哀愁が漂っていてよい。「風雲編」「激闘編」「番外編」もいずれ読んでみよう。ちなみにカバー画は今は「アカギ」の福本伸行に変わっていました。
2010/09/06
太田青磁
最高のエンタメ。何度読んでも面白くて切なくなる。小さくても独立国でいたい坊や哲と真正面からぶつかって行く健。昔気質のバイニンたちや女性たちの姿も一癖も二癖もあり興味深いです。自分のスタイルを作り勝負にかけるということは人生そのものかもしれません。ラストシーンも胸に残ります。
2012/01/24
生存戦略
例えば銃を撃ったり爆弾を落とされたり東京が焼け野原になったりっていう圧倒的なリアルを戦争世代は経験していて、そういう時代を経験した世代じゃなきゃ書けない小説があるとすればこの小説はまさにそれで、もうその博打打ち達のリアル物語たるや圧倒的で感想を書くのをおこがましいとさえ思えてしまう。男は男として生きて、女は女として生きて、博打打ちは博打打ちとして生きて、そして死ぬことができた、そんな貧しくも今となっては奇跡のような時代。小説って素晴らしいと改めて。戦後小説の最高峰の一。
2014/03/26
taku
麻雀を知っている方がより楽しめるけど、知らなくてもピカレスク小説が好きなら、この作品世界を十分味わえるかも。この小説の面白さは、博打で生きる無頼漢たちの魅力にある。戦後間もない混沌とした世の中で、社会の下層にいる博打打ち達。ろくでもない連中なんだけど、その生き方や台詞は人の根本に訴えるところがあって、納得させられてしまうからタチが悪い。どいつもこいつも腹に一物抱えて、まさに命を賭けて勝負する。その姿は悲壮感が漂い、滑稽でもある。けど、そんな姿に魅了されてしまう。
2015/09/24
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