牌の魔術師 (角川文庫 あ 4-15)
牌の魔術師 (角川文庫 あ 4-15) / 感想・レビュー
夜間飛行
幼い頃、祖母から聞かされた話…山で狐に化かされたり、化かされそうになって姉妹で助け合う話を思い出した。なぜだろう? 人間も動物も一つ世界に生きている…それに似たユートピアがここにあるからかも知れない。この小説では人間同士の欺し合いが描かれる。賭け麻雀で生活するバイニンはふだん素性を隠し、素人の客から少しずつ搾取しているが、同業者が現れると互いにイカサマ承知の芸と芸の真っ向勝負を挑む。負けた方は生活の場を失うから必死だ。相手の技を見破り、その上を行く技を繰り出す。自分の目と技だけを頼りに生きる姿は清々しい。
2015/04/29
山田太郎
あんまり付き合いたいとは思わない人たちの話なんだけど、なんだかくせになるというか。たまに読みたくなるので困るというか。ブックオフで100円だったからまぁいいかと。
2015/02/25
よっしー
★3・5 30年以上前、高校か大学時代に読んでると思う。今、読んでも色褪せないなぁ。手積みで久々に麻雀してみたい。
2016/07/02
ファーラス
面白かった。初出は1973年。戦後の賭け麻雀を生業とするバイニン(商売人。プロ)たちの、人生の交錯と人間模様を描く連作短編集。講談社の少年漫画『哲也-雀聖と呼ばれた男-』の原作的な小説。漫画版は、大筋は麻雀放浪記を踏襲しつつも、1つ1つの話やキャラ立ては本作に依るものが多い。戦後の空気重視なのが麻雀放浪記、バイニン生活重視なのが本作。今読んでも古くささが一切ない文章で、読みやすい上に、表現や描き出すモチーフも浅くなく、エンタメ感も十分。『麻雀作家』の色で過小評価されているが、日本史上屈指の文豪である。
2022/11/23
ゆーいちろー
もはや、氏の麻雀小説について何かを言うことはないのだが、やはり、何度読み返しても面白いということに尽きる。以前にも、他の短編集でも書いたように思うが、たった一つ、麻雀というテーマのみをもとに、これだけの量と質の作品群を書き続けたのは、すごいと言うしかない。近年、これら阿佐田作品をもとに、少年マンガも連載されていたが、そこに名の出てくるキャラクターも本書に多く登場する。ダンチ、キャブ、ブー大九郎、まんしゅうチビ、印南・・・どこか滑稽で、どこか切ない登場人物達の姿に、実は正統的な人情話の雰囲気を感じる。
2012/05/05
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