亜愛一郎の転倒 (角川文庫)
亜愛一郎の転倒 (角川文庫) / 感想・レビュー
そのじつ
読友さんの登録本に釣られて。初読みだが頗る気に入りました。どこかで聞いて名前だけ知っていた探偵役・亜愛一郎のキャラがとにかく個性的。タイトルに忠実に毎話転ぶドジっぷり、微笑ましいが彼の王子然とした美貌に見惚れていた女性たちがサッサと退却していく非モテキャラとしと描かれている。ユーモラスな調子と奇妙な事件、気の利いたミステリはナイスな読み心地。謎解きもさることながら、言葉遊びの妙味が効いてる「意外な遺骸」と「病人に刃物」がワクワクした。ぜったい言葉遊びネタ考案のほうが時間かかってる。
2024/05/23
カーゾン
M:「~の狼狽」より平均点では下がるかな?という他の方の感想には概ね肯ずるがこれもなかなか突飛な発想で嬉しい短編集。「砂蛾家の消失」「意外な遺骸」「三郎町路上」が好みの順です。
1982/12/01
Urmnaf
かなりの旧作に属する。携帯電話もないし、写真は現像しないと見られない。今の感覚からすると、一つ一つの所作に違和感を感じることも多い。その中で、(今風の言葉で言うと)イケメンだけど、ちょっととぼけた写真家が大活躍という話。この作者の特徴でもある動機の奇抜さ(というか、ちょっとひねくれた心理)とも相まって、ライトな感覚を残す。だからと言って、ミステリとしての内容は決して軽んじていいものではなく、中でも「砂蛾家の消失」は「神の灯」に匹敵する家屋消失トリックの白眉。マジシャンでもある作者の面目躍如。
2015/11/04
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