21世紀のブルース (角川文庫 に 4-14)
21世紀のブルース (角川文庫 に 4-14) / 感想・レビュー
夢追人009
西村京太郎さんの第5作は原題「おお21世紀」で、前作「太陽と砂」の2年後に書かれた同様の近未来小説ですが、内容は全く真逆で堅苦しさや暗さが払拭されて著者が初めてユーモアを交えリラックスした明るい作品で大いに楽しめますよ。冒頭では21世紀最初のお正月のテレビ番組が全TV局一斉に月基地からの中継になっていて途中の内容紹介ではコメディアンに宇宙服を着せて月面でボクシングのまねをさせるという下らなさなのですね。でもアメリカは既に火星からTV中継していて日本を国力で凌駕しているのです。まあ現実とは大違いですけどね、
2023/10/31
夢追人009
西村氏の5冊目は珍しいユーモア青春小説です。本書は前作「太陽と砂」と同様に未来がテーマの普通小説ですが、前者が堅苦しい悲劇を内包したドラマだったのに対して完全に180度転換した殺人も悲劇もないコメディ・ドラマとなっていて、ここまでの西村氏の長編4作とは全く違うライトな感覚の作風が新鮮でしたね。やはり著者も人間ですから陰々滅々とした物語ばかりを書く事に疲れられたのでしょうね。本書はだらけた人間に喝を入れて反省を促すという内容ではなく、とにかく堅苦しく考えずに素直に娯楽作品としてサラッと読むのが正解でしょう。
2018/03/26
あかつや
夢や希望に満ちた21世紀、人類は火星にも到達し、科学の発展で人々の暮らしは格段に便利になっていた。しかし大学生の朋子はこの世界にはもう冒険がなくなったのではないかという満たされない気分を抱えていた。昭和44年初出の、この著者には珍しいSF小説。古い時代の近未来SFには現実との対比で面白がるっていう楽しみ方があるが、これはそういう面ではなかなか味のある小説である。分単位まで正確な地震予知と十分な耐震技術によって大地震がエンタメ化してるのとかユニークだと思った。でも想定してるのがM7.8程度なのが甘いわな。
2022/06/07
浅木原
1969年刊の2001年予想小説というから果たしてどんな珍妙な代物かと思ったけども、案外良い線突いてて笑う。ソビエトが残ってるしTV電話とか立体テレビとか月からの中継とかコンピュータ万能説みたいな技術面はいかにもで苦笑ものだけど、「テレビを見るのは老人ばっかり」とか災害のショー化みたいに社会生活面はわりと現代にニアミスしてて、テーマも温暖化による異常気象と放送自由化なのでそれほど古臭くない。これで話が面白ければ良かったんだけど60年代末センスの青春小説はやっぱり21世紀に読むものとしては辛いですね。
2015/07/14
義輝仮面
【★★★☆☆】 昭和40年代に出た所謂21世紀を描いたもの。だが私が読んだときはもう作中の時代をこえてしまっている…まだ実現できてないのも何個があるけど結構ある。気象コントロールとか便利だけどそのリスクはたしかに計り知れない。あと若者を批判しまくる中高年がでてるがこれは見事に的中してますな。
2017/11/02
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