逃げろ、ボクサー (角川文庫 や 10-5)
逃げろ、ボクサー (角川文庫 や 10-5) / 感想・レビュー
ラクダ
野球、ボクシング、ソフトボール等の選手の逸話集・・その中に1982年・・セリーグ大洋VS中日の最終戦の話があった、大洋が勝てば巨人の優勝、中日が勝てば中日の優勝が決まる試合・・・と同時に大洋の長崎選手と中日の田尾選手がシーズンの首位打者を争った試合でもある・・・長崎選手が試合前・わずか9毛(0.09%)上回っていた・・当時の大洋関根監督の采配で、長崎選手はこの試合出場せず、田尾選手は全打席敬遠・・・その時の試合の様子、二人の心境が綴らてている・・・読んだ後ほっこりした気分になった。他の話も良かったです。
2014/05/21
きゅうり
ボクシング、ボディービル、野球、ソフトボール。それぞれのスポーツを通して男たちの人生を描く。ちょっとかっこよすぎるんじゃない?って思うのは、ひがみかも。例えその輝きが長い人生の一瞬でも信念を体現して汗を流す姿は素敵だなぁ。キャッチボールしたくなった!!
2013/11/15
やまあき
例えばイチローのような、誰もが知っているスーパーヒーローのスポーツにおける活躍、を描いている作品ではない。どちらかと言えばマニアックと言われてしまうようなアスリート達の、勝負の場における一瞬のアヤ。瞬間的に、時には重層的に描き出したスポーツノンフィクションの傑作。無駄を一切そぎおとした文章は極めてスタイリッシュ。なのに、まるで自分が渦中にいるかのように胸を打つ。スポーツ純文学、なんて言ってみたりして。この中ではやはりというか、『異邦人たちの天覧試合』が好き。カイザーにはもう泣くしかない。
2013/03/17
シャル
スポーツを巡る小さく数奇な運命の断片。プロ野球の首位打者争いや天覧試合という猛烈な光の当たる世界での光と影から、高校野球監督の采配と思案、ただ自らを鍛えるボディビルダーの求道的な生き方まで、それはまさに人生の縮図でもある。『人生の、たとえほかの時間では敗者であったとしても、あるいはそれゆえにこそ、このゲームには勝ちたいと願う』、回れ、風車のこの一文こそが、山際淳司のノンフィクションの真髄だろう。誰もが迷い、考え、そして貫く。そのドラマを切り出している。それゆえに、あとがきにかえての弟の話が心に刺さる。
2012/04/09
anken99
久しぶりの山際作品はノンフィクションの短編6編を収めた作品集。なんといってもよかったのは、表題作でもある「逃げろ、ボクサー」だろう。大橋克行というボクサーが主人公だが、名前を聞いてあれっと思った。あとがきを読んで解決、大橋秀行の兄なのだという。どこか弟にも共通する魅力を秘めたこのボクサー、本作では十分その魅力が伝わってくるだろう。ほかにもマイナースポーツにも目が向けられていたりと、心地よい作品集であった。
2015/08/31
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