異形の地図 (角川文庫 緑 576-1)
異形の地図 (角川文庫 緑 576-1) / 感想・レビュー
saga
【再読】奥付は昭和59年初版、昭和63年9版。舞台設定は一人の男が女性の追憶を旅先での出来事を通じて物語る、連作短編風の12話。昨日読了した本の知識を借りれば、濃密な愛情空間を共有した男女が、地理的・時間的に離れ離れになり友情空間から貨幣空間へと疎遠になっていく様子が描かれる。追憶の女性は美化されることが多いが、最後の「瑠璃色の底」では沼の底へと引きずり込まれるような恐怖の対象となった。初読は20代だったが、年齢を重ねた50代で再読すると一層味わい深い作品。
2024/11/14
グラスホッパー
数十年ぶり再読。以前は行ったことのなかった会津磐梯山に後年行き、本書を読んで噴火の亀裂がそうなのか、とリアルだった。年月が経っても男女のいる風景は、変わらないな。深く考えないクールダウンの一冊。
2019/08/07
ムー
短編の名手だけあってスラスラ読めた。とてもという評価ではないけど日本全国津々浦々での話でその土地、土地の名所が知れて勉強になった。簡単に人が死ぬ話が多いな。
2017/12/06
MIKETOM
日本全国の様々な都市を舞台にした阿刀田らしい短編集。ただ、切れ味鮮やかなどんでん返しって感じではなくて、人生の切り口を垣間見せながらあれこれ思い巡らせるような内容のものが多い。そしてもう一つ、ビジュアルに訴えかける作品集でもある。エロチックな場面や幻想的なシーン、ちょっと怪談めいたものなど、視覚的なインパクトのある作品ばかりだった。女体から養分を吸い上げるマングローブの夢を見たり、真夜中のホテルのバーで演じられる指だけのダンスとか、そういったあたりが阿刀田らしさなんだろうと思う。
2017/04/26
mnagami
連城三紀彦とはまたちがった味わいの男女の物語。不思議話までいかない不思議な話が多かった。あとは旅情の描きが魅力的でいってみたくなる
2017/09/18
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