トパーズ (角川文庫 む 4-4)
トパーズ (角川文庫 む 4-4) / 感想・レビュー
HIRO1970
⭐️⭐️⭐️村上龍さんはまだ5冊目。12の短編があります。全て風俗(派遣)の女性が題材ですが、押し並べてパープーで醜女の設定が多いのと、意識的にか文の句読点が無く、実に読み進めにくい作品でした。単行本が88年ですからバブルの絶頂期の作品らしく、金満と著者の好きな倒錯した性の世界がこれでもかと次々に現れて、余りに救いの無い世界感に爽快感はゼロです。慣れて来たのか著者のデビュー作品程の嫌悪感は抱きませんでしたが、混んだ電車の中で読むのはかなりツライ作品で変態性描写が多いので周りの人に注意を払いつつ読みました。
2016/07/19
匠
風俗業を仕事とする女性達を主人公にした短編集。まず感じたのは、あぁバブルの時代だなぁと。世紀末特有の退廃と飽食にSM世界はなぜかとてもよく似合う。しかしここに登場するSMには知的さや美意識はあまり感じられず、欲望と哀しみ、醜態と滑稽さが混在していてせつなかった。そして風俗嬢のゆるい口語体であえて書かれた文体がとても読みにくかった。でも世界を代表する映画監督のいくつかの作品の中で、この『トパーズ』でのSMプレイの描写の一部が使われており、そういった影響を与えた部分も評価されるべきところなのかもしれない。
2014/05/29
ehirano1
あわわわわ、いろいろな世界があるのですね。
2015/03/01
眠る山猫屋
再読。なんだか凄い本だった、そんな思いだけが残っていた。映画にも出てきた高層ホテルでのシーンも頭にあるのだが、物語が付いてきていなかった。今読むと、決して後味が悪いとも云えない。もっと陰惨なストーリーが世界に認知されるようになった二十年間を思う。入り込むことは相変わらずできなかったが、ザラザラぬめりとした肌触り、気になってしまう。
2018/11/15
hit4papa
収録作それぞれの作品はとても短いのですが、1編読み終えるごとに疲労感が蓄積されていきます。エロチシズムの村上龍的な表現なのでしょうが、官能というより暴力に近い。グロテスクと言っても良いでしょう。都会の夜とマニアックな性愛が、主役となる女性の視点で描かれています。彼女らの行動を通して薄っすらと見えてくるのは、せいぜい、つながりへの希求でしょうか。現実というものの一つの捉え方として理解できます。
感想・レビューをもっと見る