さよならの挨拶を (角川文庫 緑 604-7)
さよならの挨拶を (角川文庫 緑 604-7) / 感想・レビュー
Noda's Rockin' Blues
愛する彼女に去られたトルエン中毒の少年・アキラ。若い女と家を出た父と、悲しみにくれて酒びたりの母。そんな母をギリギリのところで支える2人の姉。既に家庭は崩壊しているというのに、何食わぬ顔で家族を演じ続ける彼女達に、アキラの怒りは爆発する。しかし、最も腐っているのは自分自身だった…という、ひたすらダークな青春小説。どん底まで堕ちながらも、前へと進もうとする友人・ヒロシと対照的に、アキラは全ての大人達に唾を吐き、ひたすら闇に堕ちてゆく。アメリカン・ニューシネマのような、滅びゆく者の虚しさが漂うラストも見事。
2014/10/30
KGMANHOLE
安っぽい欲望や希望はかえってぼくを茨のように傷つける。濃密な光に充たされた夏のなかで、だがぼくは闇の中で一瞬煌めいては消える一条の光を見たいと目を凝らす。それは何だ、いや、そんなものはありはしない。いつもいい加減だった真鍮メッキのぼくの青春は、やがてトンネルの底でペシャンコになるだろう。「さよならの挨拶を」
2011/02/21
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