遺骨 (角川文庫)
遺骨 (角川文庫) / 感想・レビュー
HANA
トラベルミステリを得意とする著者、今回の舞台は明石海峡大橋開通まじかの淡路島と金子みすゞの故地山口、銅山の土地足尾。なのだが変に社会問題を扱っているために、両者とも影が薄くなってしまっている。ミステリ自体は足の探偵ともいえる堅実な造りだが、著者の思想が前面に出ているため読んでいる間中違和感が付きまとってしまう。大きな出来事の背後には薄暗い過去を持った特定の利益集団が存在する、という構造は現在の目から見るとそちらにも違和感が付きまとってしまうなあ。やはり古臭さが目に付いてしまうちょっと微妙な作品でした。
2022/12/19
HiroNuma7
探偵・浅見光彦シリーズ。取材で訪れた淡路島で偶然であった男性が、数日後殺されます。偶然の縁から興味が湧いた浅見は、殺された男性の足取りを追いますが、男性の関係者が立て続けに殺されます。現場は、栃木県の足尾。そこは、かつて銅山で栄え、終戦直後には日本への引き揚げ組と朝鮮への帰還組が集まる地でもありました。そこで起きた過去の罪が、新たなる悲劇をもたらします。本作では、時事ネタとして、脳死問題が取り上げられています。脳死は、人の死なのか?医師の倫理観なども絡ませて面白い物語になっていると思いました。
2016/10/22
来未
浅見光彦シリーズ。 読み始めて…あぁ〜2時間ドラマのやつだぁ〜と気づく。それは言いとして… 骨壺をめぐる2つの殺人事件、その殺人事件とは、戦時中の旧悪な出来事にまでさかのぼる。人を人として扱わない人体実験…歪んだ医療従事者の倫理観…脳死と臓器移植の関係…そして、自身の保身。骨壺が意味するものとは?タイトルの遺骨の意味するものとは?読み解く中で、自身の理想を創り上げる為に手段を選ばない権力者たち横暴さを強く感じる。改めて自身においても生死観や倫理観というものを考えさせられた。
2020/03/03
Kiyoshi Utsugi
内田康夫の「遺骨」を読了しました。 浅見光彦シリーズの一つですが、タイトルに「殺人事件」などがない珍しいものです。 舞台は淡路島、山口県の仙崎、栃木県の足尾になります。 取材のために淡路島にある常隆寺を訪れた浅見光彦ですが、取材を終えて東京に戻ってから常隆寺の住職から板橋区で起きた製薬会社の社員が殺されるという事件のことを知らされます。 それをきっかけとして、浅見光彦がその謎を解くために東西駆け巡るというものです。 面白かったので、いつものように一気読みとなりました。
2019/06/26
しんた
名作。臓器移植(731部隊)をテーマにした作品。故郷山口が舞台で身近。珍しくヒロイン不在だったが、最後の喜美恵登場シーンは鳥肌立った。
2012/11/25
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