野望のラビリンス (角川文庫 ふ 1-4)
野望のラビリンス (角川文庫 ふ 1-4) / 感想・レビュー
森オサム
先月お亡くなりになられた藤田宜永氏のデビュー作。その後、直木賞、吉川英治文学賞等、エンターテイメントの文学賞を数々受賞されますが、本作については、まあ習作と言う感じかなと。パリを舞台に、フランス国籍の日本人私立探偵鈴切がネコを探す話。その途中で、死体が多数、魅力的な女性が数人、探偵の傷が多少、増えながら話は進みます。最後まで読んでもタイトルの意味が分からない様な少々気取った作品ですが、ハードボイルドへの憧憬を強く感じる、デビュー作らしいデビュー作。沢山の作品をありがとうございました、ご冥福をお祈りします。
2020/02/29
sheemer
パリでの猫探しとリンクした殺人事件の謎。作家がもともと住んでいたフランスのちゃんとした調査がリアリティを増している。男っぽいがハリウッド的には過剰でないハードボイルド。先日高樹のぶ子の「マルセル」を読んだが、事件を扱っても女性とは違う視点があるな、と感じた。「燃ゆる樹影」を読んでいるが、自然で無理がないし、好みの作家になってきている。
2019/02/20
あかつや
フランス在住私立探偵・鈴切信吾のもとに舞い込んだ猫探しの依頼。猫を預けた知人の男が音信不通になったという。さっそく調査を始めるとすぐに射殺されたその男の死体を発見する。ハードボイルド猫探し小説。男の過去を洗っていくうちにけっこうなきな臭さの事件に巻き込まれていく。これといって飛び抜けた驚きとか発見みたいなのはないけど、安定感のある筆致でなかなか読ませる小説だと思った。プロレスラー崩れのジャンが好きだな。でもあいつ、なんか基本的にはいい奴みたいに描かれるけど、女食い物にしてギャンブルに狂ったクソ野郎だよね。
2023/06/01
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