春の野原満天の星の下 (角川文庫 き 9-17)
春の野原満天の星の下 (角川文庫 き 9-17) / 感想・レビュー
新地学@児童書病発動中
素晴らしい!これまで読んだ銀色さんの詩集の中ではこれが一番良かった。切ない感情と喜びの感情の両方が書き込まれていて、読んでいるときにその両極の間を、自分の心が揺れ動くのを感じるのは、素晴らしい体験だった。たくさん収録された写真も研ぎ澄まされた美しさがある。自分の感情が死んだような状態になったら、この詩集を読めば、もう一度心が動き出すはずだ。暗さの中に落ち込むことはあっても、最後の方で光が見えてきて、初めてこの世界を見る時のような新鮮な気持ちで前を向いて、歩いていけるようになる。
2016/04/18
おくちゃん🍎柳緑花紅
ドキッとしたのは、よくよくかんがえてみると どんな成り行きも どんな結果も その人らしい/おずおずと心細げで 今にも後ずさりして 逃げていってしまいそうな 目をした 今 した/そして激しく同感したのは、同情は最高の侮辱だから 決して人をかわいそうと 思ってはいけないと思う その人を認めるということは その人の力を信じるということで その人の誇りを汚さないということだと思う。/写真もとても素晴らしい。季節の移ろい春夏秋そしてこれから巡ってくる冬も美しい季節。人の心は無限に広く人の素敵さも無数にある。
2015/10/30
chantal(シャンタール)
15年前、日本から持ち込んだ数冊の本のうちの一冊。久々に取り出してみた。題名の通り、銀色夏生さんが(多分)北海道のあちこちの、名もない野原や海辺や道端で撮影した写真たち。名も知らぬ花たちの健気な姿に、ちっぽけな事で悩み、ウジウジしてる自分が嫌になる。「感情的にならないことによって、情緒はもっと深くなる」「いつどこがどんなふうにかは わからないけど すべては変わっていくだろう 希望は明日へすいよせられる 変化という包容力 さっぱりとしたいさぎよさの 毎日がはじまる」潔い女はカッコいい!と思って頑張ろう!
2020/09/29
masa@レビューお休み中
瑞々しいのは、そこにある記憶が、今なお生きているから。あの日、草原で駆けた記憶も、丘の上で二人で見た景色も、霧の中を無言で通り過ぎた出来事も…。全部必要なことだった。感情も、記憶も、出来事も、すべて過不足なく、必要なだけ起こっている。だから惜しむことなく、安心して今を生きていいんだ。過去を振りかえること、懐かしむこともありだけど、決して巻き戻してはいけない。巻き戻した景色は、すでに色褪せているのだから…。春の野原で君のことを想い、満天の星の下でしあわせだった出来事の数々を思い出した。君と出逢えて良かった。
2013/03/21
masa@レビューお休み中
【再読】喚起させるために触れる。忘れたと思っていたことが、鮮やかに色づき始める。もう必要ないと思っていた情報が当時の想いとともに舞い戻ってくる。僕はあのときを封印しようとしていたのか。なきものにしようとしていたのか。それが最善の方法だと思っていたのに…。結局は忘れることも、封印することもできなかった。過去の記憶を喚起する。キリキリする痛さを伴うのに、それすらも甘美に感じてしまう。僕が変わったからそう思うのか。それとも、変わらなかったからそう思うのか。一体どちらなのだろうか。
2017/11/30
感想・レビューをもっと見る