そしてまた波音 (角川文庫 き 9-40)
そしてまた波音 (角川文庫 き 9-40) / 感想・レビュー
新地学@児童書病発動中
写真と詩が絶妙にマッチしているのに驚く。それにしても銀色さんの詩は分かりやすい。日本の現代詩と正反対だ。知的に武装し、レトリックの限りを尽くす現代詩を読む人がほとんどいなくなって、銀色さんの詩が広く読まれていることはいろいろなことを考えさせる。切ないことを真っ直ぐに切ないと表現することは、現代詩では笑われるが、銀色さんはそれを自然にやってしまう。その構えない自然な姿勢と勇気が好きだ。
2016/04/03
masa@レビューお休み中
イタッ。イタタッ…。はじめ、小さな棘のようなものがチクリと刺さっただけかと思っていた。けれど、痛みはどんどん膨れ上がっていく。チクリがチクチクに。チクチクはズキズキに…。しまいには、我慢できないような激痛へと変化してしまう。気づきが疼きへと変わることがある。気づいてしまったがために、胸の奥に潜んでいた痛みの源泉が湧き上がってしまうのだ。もう忘れてしまったはずなのに。もう癒されたはずなのに。もう立ち直ったはずなのに…。たくさんの「はず」が波音のように寄せては返す。胸の痛みとともに、その波は何度もやってくる。
2014/03/18
momogaga
再読。旅には必ず持っていった本。車窓を眺めながら読む文章は短い方がいい。そして、胸に残るフレーズ。失くしたと思っていたこの本が、12月31日出てきたのは意味があるのでは。
2015/12/31
おくちゃん🍎柳緑花紅
自分の何かをリセットしたいときに手に取る銀色夏生さんの作品。誰にも証さず、自分の心の奥の奥にしまってある小さな何かが目覚めるように。写真と詩が見事にマッチし、私に痛みと安らぎを与える。「最後のシャボン玉」が今の私にピタリとはまった。やっぱり良いですね。銀色夏生さん♡
2014/04/04
優希
胸に刺さるような痛みが走ります。綺麗な写真と共に語られる言葉は切なくて、消えるようで、そしてチクリと刺していくものばかりでした。優しい語り口調なのに、棘のようでもあるんですね。痛みは波のように寄せてきたりどこか遠くへ行ったりします。浜辺で佇みながら押し寄せる波に身を任せていくようなそんな感覚になると言えばいいのでしょう。舌触りはいいけれど、飲み込むと痛みが全身を貫くようです。でも好き。
2014/07/11
感想・レビューをもっと見る