詩集 エイプリル (角川文庫 き 9-66)
詩集 エイプリル (角川文庫 き 9-66) / 感想・レビュー
やすらぎ
言葉の意味を知ろうとするほど、見失ってしまう。わけもなく怖くなるときがある。地球の片隅に追いやられているような孤独感に胸がきしむ。思い出と憂鬱は同じところに仕舞われている。見えないのに想像は勝手に広がり、憧れては恋して、悲しむ。砂に埋もれて身動きがとれない。私の身体なのに。…雨露が輝くとき、雲は途切れる。流れゆく記憶を懐かしみ、微笑みあう。慰めあい、助けあう。ただ居てくれさえすればそれだけでいい。そのことにやっと気づく。…物語はいつでもここにある。野の花の香りが届く頃、やさしさに包まれているあなたがいる。
2022/02/12
新地学@児童書病発動中
音楽を聞くような感じで読める詩集。言葉と美しい写真が一体となって、心の中の澱を洗い流してくれる。懐かしさと切なさとほろ苦さという人間の感情の中で、一番大切な部分を、平易な言葉で鮮やかに定着させていることに感心した。なんとなく気持ちがすっきりしない時に読めば、心が元気になると思う。そういう意味で効き目のある薬のような詩集だ。
2016/03/13
masa@レビューお休み中
春は出会いの季節だというけれど、実は別れの季節ではないだろうか。出会いは多ければ多いほど、その分量に比例して別れも多くなっていく。忘れられない人がいるかもしれない。削除できない想いがあるかもしれない。仲間たちの大切な思い出もあるかもしれない。新しい季節には、それらのものを持っていけないことがある。過去に執着することも、思い出に縋ることもできないのだとしたら、あなたはどうするだろうか。四月に起こる出来事は出会いと別れのふたつある。あなたの記憶には、どちらがより鮮明に思い浮かぶのだろうか…。
2016/03/30
ann
停滞した時のためにベッドサイドテーブルに山積みしてある「銀色詩集」。詩はもとより写真が本当に素敵。目で見て心で感じる。『経験を重ねて重ねて意味は深く深くなる』『会いたいということは だまされたいと思ってるってことだから』
2019/12/05
湘子
「波紋のちから」小さな石でも 一度 湖に投じたら その波紋は すみずみにまで届く 僕はその波紋のちからを信じる ― 詩と写真が半分ずつ。短いものが多いので読むというより眺める感覚でさらっと読了。その中で時々カツンと引っかかる言葉があるたび何度も読み返す。最初に書いたものがその中のひとつ。私はこんな風に人の心に響いていけるような人になりたいな。
2013/04/22
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